28.【9】潤の願い ページ28
［潤side］
担任の先生が
和の為に、クラスのみんなと
色紙を書いてくれた。
担「和也くんに、よろしくね。」
渡された色紙には、優しい気持ちが沢山
つまっていて、すごく嬉しい。
和もきっと喜んでくれる。
和は入院してから一日中、何かに怯えて
恐がって生活してる…
ゲームだってやりたがらないし、
俺が病室に入る時もビクッとして恐がるか、
ベッドの向こう側で震えてるかの
どちらかで…
その度に、前までの和は「もういない」って
言われてる気がするんだ。
俺は何もできない…
考えても考えても、自分にできることが
見つからなくて沢山泣いた。
色紙を持って病院に行こうと思っていたけど、
俺の足は気が付いたら違う方向に
進んでしまっていた…
［翔にぃside］
最近は、家で潤が帰ってくるのを待って
一緒に病院に行っている。
だけど今日は待っても待っても帰って来ない。
智にぃに連絡したけど、病院にも来てないって
言われるし。
友達の家にでも寄ってるのかな…
学校で遊んでるのかな…
色んなことを考えながら待ってみたけど
時刻は18時前を指していて。
そろそろ暗くなってくる…
探しに行った方が良さそうだ。
家を出ようとしたら学校の先生から
電話がかかってきた。
「和也くんの体調はいかがですか？」
「色紙はクラスのみんなからの気持ちだから
少しでも励みになれば嬉しい」
「潤くんの元気がなくなってきた気がして
気になっている…」
しばらく先生と話した後、智にぃに
もう一度連絡をいれたら「雅紀が職場を
出たから一緒に行ってきて欲しい」って
言われて、雅紀の到着を待った。
飛ぶように帰ってきた雅紀は、
荷物を玄関に置くと「早く」って俺の手を
引っ張る。
運転席に乗り込もうとした雅紀を止めて
俺が車を走らせる。
取り乱した雅紀に運転させるわけには
いかないから…
雅「…智にぃと電話してたら、和が
泣いててさ。智にぃは誤魔化したみたいだけど
和は、何か感じるんだよね、きっと…」
俺は泣きそうになる雅紀の頭をそっと撫でた。
雅「あ、お墓…？」
「うん、たぶんね。今日ね、担任の先生から
電話あってさ。クラスのみんなから
色紙プレゼントされたみたいなんだ。」
雅「なるほど。見せに行ったってことね？」
「どうか、両親の所に居てくれますように…」
俺は静かに願いながら車を走らせる。
途中、雅紀に智にぃから電話が掛かって
きたけど電話越しからでも、和が叫んで
泣いているのが聞こえてきた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
