5人で生きてゆく…【幼き記憶】 (ページ23)

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［翔にぃside］

しばらく潤を
慰めながら
ゲームを準備してたら、
雅紀が笑顔で駆け込んできた。

その顔を見れば説得が上手くいったことは
すぐに分かった。

潤も安心したのか笑顔になって
一緒にリビングについてきた。

雅「ほら、和。自分で話して？」

和「…さと、泊まる。いい…？」

雅「平気だよね？」

俺らが話を全くつかめてないのに
雅紀はニコニコしながら和の頭を
撫でてる。

俺が慌てて「ちょっと待て。ちゃんと
説明して？」って促したら310号室の話を
してくれた。

そこでやっと、智にぃも潤も俺も納得。笑

雅「病院に電話で確認して？
さと、なら泊まるんだもんね？」

和「ん…」

ここ数日、何を言っても入院の話になると
聞き分けのなかった和が頷いてる。

やっぱり雅紀はミラクルを起こしてくれた。

ちょっとくらい相談しろよって思うけど
良しとしよう。笑

俺は病院に電話して事情を話し、
許可をもらった。

雅「じゃあ、和。着替えようか。」

和「ん…」

パジャマのまま連れていく覚悟だったけど
和は雅紀に手を引かれて着替えにいった。

智「ふふ。よく思い付いたね、雅紀。」

「ほんとだね。」

潤もニコッと笑ってソファーに座った。

俺らはその間に車に入院用の荷物を運んだ。

荷物を見たら、また実感が湧いちゃうからね…

雅「着替えたよー！和、おいで。」

和は雅紀を見上げて笑って、
ピッタリ背中にくっついた。

頼りになる兄ちゃんだもんね。

和「…とり、じゃない、でしょ…？」

雅「もちろん！約束したでしょ？
智にぃが泊まるから大丈夫。」

和「ん…」

不安にしっかり寄り添ってくれる雅紀を、
和は信頼した目で見つめている。

車にも自分で乗ってくれて
俺と雅紀に挟まれて後部座席に座った。

和「…さと、誰もいない…？」

「うん、誰もいないよ。」

和「誰も…こない…？」

「顔覚えただろ？和の先生と
カウンセラーの2人。」

和「んーん…知らない…」

その後も和は車の中で「知らない」って
繰り返してポロポロ泣いていた。

和「んー、さと…くー、さと、がいいー」

診察室に入れようとしたらパニック状態…

見兼ねた先生が310号室に直行することを
許可してくれた。

和「…めて。ドア、しめ、て…」

後ろから着いて来た先生達を拒否して
ベッドの向こう側まで逃げて
しゃっくり上げる和…

先「落ち着くまで、待とうね。」

先生達は優しく笑って
病室を静かに出ていった。