5人で生きてゆく…【幼き記憶】 (ページ17)

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17.【2】ページ17

［智にぃside］

最初は俺の服を
掴んでいた手が小さく
震え始めたから、手をギュッと握って
落ち着かせた。

だけど、医師や看護師とすれ違う度に
体を硬くして怯えていた和は
だんだんと足まで震え出した…

翔「疲れちゃったね。あ、屋上行ってみる？」

後ろから和を支えてくれていた翔の提案で
俺らは屋上に向かった。

翔「気持ちいいね、和。座る？」

和「…りたい。こわい…」

和は病院という環境が恐いから
少しでも早く、ここから抜け出したいみたい…

翔は和の頭を撫でて、俺に合図してから
担当になってくれる先生と、
カウンセラーを呼びにいってくれた。

今日は顔合わせの予定だけど、
和が恐がってしまっていたら
遠くから見るだけにします。って
言ってくれてたから、たぶんそうなる。

俺は座ろうともせず、ギュッと背中に
くっついている和を芝生の所まで
引っ張って行った。

和「…にぃ、…る？」

「ん？」

和「さと、にぃ、すわ…？」

「座っていいの？」

和「ん…」

芝生に座ってもいいと和が言ってくれたから
俺は座らせてもらった。

こんな時でも、俺のこと考えてくれるなんて
和はやっぱり優しい子だ…笑

「かず？隣りにおいで？」

隣りの芝生をポンポン叩いたら
俺のフードは掴んだままだけど座ってくれた。

「気持ちいいね～」

和「ん…」

少しずつだけど、体から力が抜けてきた和。

翔も戻ってきたから、
和を挟んで3人で日向ぼっこ。

しばらくしたら先生とカウンセラーが
屋上に上がってきた。

白衣も脱いでくれているから
知らない人が見たら先生だって
思わないだろう…

俺らから少し離れたベンチに座って
楽しそうに話してる2人。

時々、こちらを見てはカウンセラーが
パソコンに何か打ち込んでいく。

ここまで細やかに気遣いしてもらえると
やっぱり安心できる。

俺らから片時も離れようとせず
くっついている和を、少しでも救って
くれるんじゃないかって思えた。

今の和は完全に病院も医者も看護師も…

さらには他人を信じてないからね。

時間にしたら30分弱くらい、
先生達は和のことを観察して帰っていった。笑

和はほとんど動いてないけどね。

ボーッとして、たまにキョロキョロして
「…りたい」って呟く。

そんなことの繰り返し。

翔「お腹も空いたし、帰るか！！」

和「…！うん！」

さっきまでのが別人みたいに
元気に立ち上がった和だけど「病院出るまで…
ここ、がいい…」って俺の背中に
くっついてきた。