【文スト】純粋かも知れない素敵帽子の恋愛奮闘記【中原中也】【短編集】

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「抑も、恋仲といえば遊園地って何だよ…」

中也「気にしちゃ負けです」


受付を済ませ

マフィアの傘下の

お化け屋敷の中へ這入って行く

今回の舞台は少し昔の東京都らしい


「先ずは…外、ですね。ボロ屋敷の部屋の中とかじゃなくてよかった」

中也「暗いな…。頼りになる明かりは街灯だけか」


受付を通り過ぎ

最初に見えたのは

静かに流れて行く川と

ポツポツと路端に立つ街灯

川に沿って並ぶ木々

そして淡い光を放つ

少しだけ欠けた丸い月だった


中也「空間異能で東京都の玉川上水を再現してるみたいですね。…スゲェ」

「再現しなくていいよお…現実的な程怖いんだけど…」

中也「あ、怖いンなら俺の手、握ッててもいいですよ？」


揶揄うようにニヤリと微笑い

手を差し出して来る

私は少し遠慮しながら

差し出された手を握った

だって怖いんだもん！

仕方がねぇダルォ！？

揶揄われてもいいよ！

中也君の手を握ってるだけで安心出来るんだもん！


中也「え」

「手、握っててもいいんでしょ？」

中也「あ、は、はい…」


中也君の方を向くと

街灯に照らされ

赤面しているのがよく見えた

私が手を握って来るのが予想外だったのだろう

少し

少しだけ中也君の可愛らしい処を見て

恐怖感が薄れた…かな

そんなのも束の間

川の方面からバチャバチャと水音が聞こえて来た

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