幸せです ページ42
がっしりとした腕が背中と頭に回され、そのまま優しく抱き寄せられた。
息遣いが熱い。胸の内が熱い。腕が、体が、全てが熱くて、ずっと浸っていたくなる。爆豪くんは小さく何かを呟き、私を抱きしめる力を強めて頭を撫でた。爆豪くんの胸に顔を押し付けられ、その匂いに包まれて。
大好きな人の甘いニトロの匂いを吸い込んで、なぜか胸が苦しくなった。爆豪くんは優しく抱きしめてくれているはずなのだが。
ひとしきり爆豪くんを感じた後、ゆっくりと体が離れた。そのぬくもりが惜しくて、ほわほわした思考のまま爆豪くんの裾を掴んで見つめると、
「……続きはまた今度だ」
とそっぽ向いて歩き出した。温かさが消えてやっと冷静になった私は、慌てて彼を追いかける。
はぁぁ……。
好きな人の抱擁はこんなにも心地よいものなのか。クセになってしまいそうだ。これからもたまに頼もうかな。爆豪くんも遠慮すんなって言ってたし。
なんて自分勝手なことを考えながら、私は爆豪くんの少し後ろをついてきていた。
後ろ姿を見つめるうち、爆豪くんの耳がほんのり赤いことに気がついた｡何だか一つ弱い所を見つけた気がして、思わず口元が緩んでしまう。
こんな姿を見れるのは爆豪くんの彼女……私だけの特権｡そう考えるだけで、心が温かく満たされていく。
「幸せそうな面してんな」
爆豪くんが振り向いて、私の顔を指摘した。
だって、仕方ないじゃないか。
「いいじゃないですか。……今、ホントに幸せなんですもん」
幸せだから幸せな顔をする。なんら問題無いはずだ。
馬鹿みたいに単純な考え方でそう返すと、爆豪くんは何か言いたげな表情をして、
「……そうかよ」
と一言いって、私の手を掴んだ。
後ろを歩いていた私は、そのまま爆豪くんの隣まで乱雑に引き寄せられる。
「見えねぇとこにいんな」
……爆豪くんの照れ隠しだろうか。
そう思って、彼の顔を見上げると。
……なんだ、爆豪くんだって幸せそうな顔してるじゃないですか。
「ふふっ」
堪えきれなくて、思わず笑声が漏れる。
「何笑ってんだクソチビ」
「なんでもないですよ、爆豪くん」
怪訝な表情でこちらを睨みつけてきたが、その手は繋がれたまま。爆豪くんのあったかさを感じながら、私は今までで1番の幸せを噛み締めた。
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匿名希望より - 作者さんリゼロ好きですか？どこか既視感あるなと思いまして (2021年8月12日 2時) (
レス) id: 84a09a672a (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます！ こんなに長々と感想を頂けてとても嬉しいです。満足していただけて幸いです！ (2019年5月8日 13時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - とても素敵な作品でした。終始涙が止まらないくらいに感動しました。爆豪勝己というキャラの良さが詰まっていて、満足出来ました。このような素敵な作品を作って下さりありがとうございました。 (2019年5月8日 2時) (レス) id: 0a19bd2b46 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます！確かに話を考えるのは大変ですが、作者の貧相な脳みそで精一杯物語を紡げるよう頑張ります！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - いつも読ませてもらってます！展開が難しいかもしれませんが、更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 0b1ff1fc69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真実 | 作成日時：2019年4月17日 18時
