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数年経って同じ会社に就職した。
部署こそ違えど、入社時期も一緒だし高校も一緒なのだからその縁が切れることなどある筈もなく、昼食をだらだら食うなり、たまに俺の車で送ってやるなりと親交は高校ほど無いとはいえそこそこあった。いや、かなりあった。
忘れたはずの感情が拭い終わる事は未だに無く、恋心のペンキが滴っている。
水も滴る何とやら。
今日は俺の家で二人で呑むだけの会。
何故かトントンと呑むときだとペースが上がる缶ビールを何本か適当に空けてぐいっと呷る。うわ、めっちゃ飲むやんと少し引き気味に言う彼は、俺が酔い潰れて倒れたりしたら、しっかり側にいてくれるんだろう。
「まあな、上司がクソだからアルコールで流し込まないとやってられん」
「分からんでも無いけどそこまでなる?」
「お前がストレス無さすぎなんだよ」
「そうか?案外そうでもないで」
「そんなものか」
トントンはゆったりと微笑む。その表情にどうしても意識が引っ張られて離れられない。
2本目の缶ビールのプルタブに手を掛けた彼は、ごろりとフローリングの床の上に寝転がった。鞄を枕にし、その状態で缶を開けようとする彼の手から缶を奪い取る。このまま続けていれば確実に優秀な彼と言えどもアルコールの入った酔いどれであれば中身を溢してしまうだろうと思ったから。
「何で取るん」
と少し紅潮した顔で口を尖らせた。
「溢すだろ、呑むなら起きろ」
「ええ〜〜めんどくさい〜〜」
「いつものお前とは思えない台詞だな」
「完璧人間やないもん」
酔っているのかふわふわとした口調で彼はこてんと首をかしげる。これではいつもと立場が逆だ。
「もし俺が酔い潰れてもグルさんが何とかしてくれるやろ?」
そんなら別にえーやん、なんて言わないでほしい。施錠したのが嘘のように、独占欲がじわじわと溢れ出てくる。
今なら酒のせいにして、一夜の過ちにでも持ち込んでしまえるだろうか。
ごくりと生唾を飲む。じわりと伝った汗は暖房のせいか、はたまた別の何かのせいか。
「それにグルさん居らんときにはこんな羽目外して飲めないんやで?」
呂律が回らなくなってきた。
そちらの羽目が外れているのなら、此方でも外したって構わないだろう。自己解決で問題はない。
制御の鍵など最初から外れていたのだ、と後で笑えばきっと許してくれる。まぁ別に、許されなくとも構わないが。
弾丸エンヴィーと時々毒々。────kn×syp.→←恋愛ドミネーション。────gr×tn.
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陰キャがいるから陽キャがいるのだ!! - ああああのっ…!良かったらsyo×syp書いてくださいませんかかかかかっ…!!?? (2020年9月7日 19時) (レス) id: ff8bfdcc9b (このIDを非表示/違反報告)
鮭 - シャオチャン多い―すこ( *´艸`) (2020年5月24日 12時) (レス) id: 7cccfd6a08 (このIDを非表示/違反報告)
シトラス - 最初タイトル見て甘々な感じのお話なのかな、と思ったらpiのコールサインがポべートールでタイトルの意味に漸く気が付いて鳥肌が立ちました。瓶入りさんの伏線と知識量がえげつなくてもう本当に好きです、これからも応援してます。 (2020年5月10日 20時) (レス) id: 20245e566b (このIDを非表示/違反報告)
猫缶。(プロフ) - 綺月ナズナさん» ちょっと私の心臓潰れてません?潰れてたわ(事後報告)無理じゃね??外側スパダリ特定の相手にはデレるshaさんすこすぎてもともと無い語彙が完全に消滅しましたありがとうこざいます。sypさんって絶対体力オバケだよね(何がとは言わない)ありがとうございましたしゅき。 (2020年5月10日 18時) (レス) id: efdd73f72f (このIDを非表示/違反報告)
綺月ナズナ(プロフ) - 猫缶。さん» あッッッッ存じ上げております私の妄想がお世話になっておりますッッッッ、そんな風に評価して頂けた事が無いので凄い嬉しいですありがとうございます! syp×sha了解です、これからもどうぞ御贔屓に。 (2020年4月17日 17時) (レス) id: dc9fff9865 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瓶入りレモネード | 作成日時:2020年2月15日 9時