【wlrlwlrld/!!】×腐⇒Vol.5

恋愛ドミネーション。────gr×tn. ページ2

gr×tn.短いし続くかもしれない。



刺激的は毒。独占は刺激的。






「仲良しこよしのお友達でいような」だなんて言ったのは俺からだった筈だ。
あの頃から多少俺はこのトントンという男に対して歪な感情を抱いており、それの自制の箍としてこんな台詞を吐いた。友好の証等と言ったそんな崇高な物ではなく、只の自らへのけじめであった。


いずれ掛けた鍵を引き千切って、衝動のままに行動してしまうかもしれない。否、確実に行動するだろう。それを見越した上でのあの言葉だった。



「お友達っつーか悪友やろ」

あの時のトントンはそう言った。また馬鹿騒ぎする時は呼んでくれ等と言い残して、高校生の若かりし彼はくすりと笑った。
自分が言い出しっぺなのだが、それでも心の何処かで「お友達なんかで終わりたくないんや」なんて言ってくれることを祈っていたようで、その肯定の言葉は満点回答な筈なのに意地悪く俺を虚しくさせた。



余ってしまったなら捨てれば良い。自分の鞄から重いゴミを取り出してぽいっと捨てるだけだ。不法投棄にならない範囲で。
だが、足りないとなると話は変わってくる。それを埋めるために、はたまた代わりのものを探すために人はひたすら東奔西走しては息を切らす。

結局何も見つからず、「自分は頑張った」とか何か凄いことを為し遂げたような振りをして腹の減る埋め合わせをして妥協するのが落ちだ。わけないルーティンである。



結局トントンにどんな言葉を掛ければ良いのか分からず、視線と思考は低迷の一途を辿った。悲しいかな、彼は鈍感の生き字引。何かを察してほしいと願っても、全くと言っていいほど気付いてくれない。気付いてほしい症候群なんて患っている方が阿呆らしいが。



「嗚呼、約束だぞ」

呪縛のような言葉。実際呪縛だった。
頭を悩ませ胃に穴を開けるような魔法の言葉。
押し殺した自分の気持ちが、収納スペースから溢れ出てきそうで怖かったが何とか乗り切った。

その言葉は滑らかに首へと絡み付き、手を緩めることなく絞めてきた。苦しい呼吸を忘れて、好意のすり替えに必死で何も気付けなかった。


諦めたように笑うトントンの姿など、眼中にある筈もなかった。

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