検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:28,792 hit

あの日のキボウとあの日のコトバ ページ30

「すみません、私が今の段階で話せるのはここまでです…ごめんなさい…」

私はやっぱり自信がなくなっていって、最後は皆の顔を見る事ができなくなっていた

皆はひと言も喋らずに私の話を聞いてくれていた

でもそれが逆に私の恐怖を引き立てていた


引かれたかもしれない


私が心の中でそう感じ始めた時


「…そうか…大変だったんだな…よく勇気をだして話してくれた…


ありがとう」


近藤さんだった

私は顔を上げた

その後の話をしない私を責める事も無く、聞き出す事もなく、近藤さんは、皆は、優しい視線を私に注いでくれていた

そうだ

この人達が私を否定する訳ない

だから話したんじゃないか

「ありがとう…ございます……」

自然とそんな言葉が出てきた

「おいおい、オウム返しになってんぞ」

土方さんが呆れた、でも微笑みながら言った

すると…


「なァ、今もAは本当の親を探してンだよなァ

ならそれ、俺達も手伝わせてくれよ

…いや、手伝いまさァ」


突然だった

急すぎて上手く言葉を返せなかった

でも、迷う事のない言葉だけは出てきた


「…探してます、ずっと

いつか会えるって信じてるから……

いつになったって大好きだから……」


「それ聞いて安心したぜ

人探しなら、俺達、万事屋銀ちゃんって決まってんだろ

なぁ、新八、神楽?」

「そうですよ!どっかの訳の分からない謎生物探して変な皇子に会うより、よっぽどやりがいがあります!」

「もちろんアル!私、歌舞伎町の女王が手伝うからには、どんなものであろうと嗅ぎ分けられるネ!」

「それは食いモンだけだろーがー!」

「______………」




「どーだ、江戸の町は。なあ、お嬢さん?」

またいつものワイワイムードに戻った皆を前に、近藤さんが問いかけてきた

私は、微笑んで迷うことなく応えた




·





·





·





·





·





「いい人達と働けるホワイト企業のある、優しくて温かい町です」


あの日の「ようこそ」という3人の言葉と表情が鮮明に蘇ってきた


この人達となら、本当に見つけられるかもしれない


私の中に希望が…あの時の信じるだけのものとは違うはっきりとした希望が、確かに形を成し始めていた





·





·





·





·





·





·



だから、この時はまだ誰も予想してなかったんだ

この形を成した希望が、容赦なく打ち砕かれる事になることも

それが、希望が叶うことが原因になってしまうということも

この時は、まだ誰も知らなかった

習うより慣れろ。慣れるより逃げろ。→←またね______……



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。