道を進めていない私の足の隣に誰かの足が見えた ページ25
いつの間にか違う温もりへ移り変わっていた
「総悟さん…」
私の声は震えていた
身体も震えていたかもしれない
私にまわった総悟さんの手にもこの震えは伝わっているのかな…
私には、あなたの温もりだけが伝わってくるよ
そこからは止まらなかった
ボロボロと涙が溢れ出てきた
「女の子に…泣け…なんて……グスッ…やっぱりドSですね…本当…」
「あァ、俺のドSは、土方殺るためとおめェの泣くためにあるンでさァ。上手く泣けない時は言いなァ。俺が、止めてって言うまで泣かしてやるよ。まァ、止めてなんかやらねェけどなァ
…だから、覚悟しとけよ?」
総悟さんが目の前で妖しく微笑む
「ふふっ……グスッ…いじわる…」
でも私は知ってる
総悟さんは本当は優しいってこと
でないと道端の私なんか拾ってくれるはずがない
あぁ…あのとき、本当は嬉しかったな…
まぁ、絶対に言ってなんかあげないけど。
私は総悟さんの胸で泣いた
誰も何も言わなかった
総悟さんは優しい手つきで私の背中をポンポンとしてくれている
……あ…れ…?
また温もりが増える
総悟さんと同じように背中をポンポンしてくれる手
背中をゆっくりさすってくれる手
頭を優しく撫でてくれる手
誰が誰の手なんて全然わからない
でも温かさと優しさだけは、何も考えなくても伝わってきた
それがまた涙を煽った
前にも涙が止まらなくなった時があったな
でも前の私とは変わるんだ
涙が収まったら皆に話そう
今なら言える気がするんだ
言えるとこまででいい
この人達なら優しく受け止めてくれるから
責めたりなんてしないから
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さあ、止まったままの過去を連れて
新しい未来へ1歩
前へ
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一緒に踏み出してくれる人達がいるなら
歩幅を合わせようとしてくれる人達がいるなら
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………それなら…
何の不足もないでしょう?
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あとは………
私次第
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作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時