忘るるべからず ページ8
Aは、3人を見た。
そして、静かに言った。
「はい。」
いつも通りの無表情、そして、たったひとことだった。しかし、その無の中には、たしかに柔らかさを持っていた。
近土総(((やっぱりかわいい。)))
近藤はまだしも、土方と総悟の意見が一致した記念すべき瞬間であった。
。
。
現在、A達は広間にいた。
左右を近藤と土方に挟まれて座っている。
目の前には、集められたのであろう隊士達がザワザワとしながら、同じように座っていた。
みんな、興味深そうにAを見ていた。
後ろの方の隊士は、背筋を一生懸命伸ばして見ようとしている。
必死だ。
1番前には、さっきまで一緒だった総悟もいる。
近藤「みんな、話を聞いて欲しい。」
近藤の一声で、すぐに先程までのザワザワはなくなった。
さすが局長と言ったところだろう。…ゴリラだけど←
近藤「なんか悪口が聞こえた気がしたけど……まあいい。グズッ……」
その声は、少し鼻声だった。
近藤「えー、ゴホンッ!みんなに集まってもらったのは、紹介したいやつがいるからだ。まあ、何人か見かけたやつもいるかもしれんが……よし!A!自己紹介を頼む!」
えっ、言ってくれるんじゃないの……?
こんな大勢の前で話せと……?
うん、無理だ。
Aは、不安そうに、前にいる総悟を見た。
総悟には、少し慣れたのかそんな表情を見せた。
すると、気持ちが伝わったのか、こちらに来て一緒に立ち上がってくれた。
総悟「少し人前で話すのが苦手みてェだから、俺が代わりに言うぜィ。
コイツは、椎名Aって言いまさァ。この通り、人前で話すのが苦手みてェだから、ぞろぞろと近づくなよ。なにか困ってそうだったら、まァ、怯えさせない程度に話しかけて、助けてやんなせェ。以上。」
近藤「ありがとな!総悟。」
Aは、終わったとホッとしていた。
しかし、忘れていたのだ。
総悟の、本当の性格を。
総悟が、超ド級のSであるということを。
座ってから気づいたが、もう遅い。
総悟は、Aの横に、隊士達に背を向けてしゃがんだ。
そして、Aの耳元に口を近づけてこう言った。
。
『さァて、どんなお返しをしてくれるンだろォなァ?期待してるぜィ、A?』
。
Aの体が硬直した。
去り際に見せた、その真っ黒な笑みを、Aは忘れることはないだろう。
かわいいけれど、運はないようで……→←それでは改めて…そして____
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作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時