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目は口ほどに物を言う。 ページ32

A「なんで……なんであなたがここにいるの?」

辛そうな顔をしてAが言う。それは、土方への問いかけではなく、自分の考えを整理するために呟いているようだった。

土方「どうしたんだよ。恐怖で混乱しちまってるのか?安心しろ。俺は真選組副長の土方だ。今日はお前のために真選組総出で来たんだぞ。まぁ、…あと、万事屋も、いる…。な?だから、早くここから出ちまおうぜ。」

そう言って立ち上がり、Aに手を差し出す。

パシンッ

が、Aはその手を払い除けた。

土方「…A……?おい、本当にどうしちまったんだよ。言っただろ?俺は……」

A「なんで……なんで私なんか助けに来たの。私みたいな人間を命をかけてまで全員で助けに来るなんて馬鹿げてる。本当は、早く私に消えて欲しいくせに。期待した後にどん底に沈む無様な私が見たいってこと?…だから……だからこんな、助けに来たみたいな嘘の優しさを見せるの……?」

Aはそう言って、また涙をこぼした。


そんな時だった。

男「ホゥ…かの○○○が涙を見せるとはな。面白いものが見れた。」

男がボソッと言った。
すると、

総悟「A!助けに来たぜィ!」

Aの牢に総悟が駆け込む。

総悟「もう大丈夫でさァ!この男潰して早く退さ…ん……A…何で泣いてンだ…テメッ、土方!何俺のAを泣かしてやがるンでィ!助けに行って泣かすなんて聞いた事ねェぜ!死ね!土方!」

遠慮なく刀を振り下ろす。が、土方の目には、動揺の色しか伺えず、体はピクリとも動かなかった。

総悟「クソ土方!無視してんじゃァねェェ!」

見事に頭をヒット。するとやっとハッとして総悟を見た。出血した土方が総悟を睨んで何か言おうとしたが、総悟はもう土方を見てはいなかった。

総悟「大丈夫ですかィ?そんな顔して泣かないでおくんなせェ。Aには、いつも笑っていて欲しいンでさァ。」

土方と、それを牢の外から眺めていた近藤は、目を見開いた。


なんか全然態度ちげーんだけど!そして、豹変の仕方がわかりやすすぎんだよ!


敵が目の前にいる中、そんなツッコミを入れる。もちろん、心の中で。そんなツッコミを、二人から…まぁ、本当は全隊士から入れられているとは露知らず、総悟はAを安心させるために頭を撫でようと手を伸ばした。

パシンッ

その手をAは払い除けた。



A「私に近づかないで。」



その目からは、悲しみ以外、何も感じることはできなかった。

が、口は目より余計な物を言いやすい。→←ヘンゼルとグレーテルみたいにパンを目印にしてはいけません。



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作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時

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