知らない。 ページ4
風呂から上がると、そこには綺麗に畳まれた着物が置いてあった。
いつもと違う着物に違和感を感じながらも、我慢して着て、廊下へと出た。
廊下をとりあえず適当に進んでいくと、途中、隊士にたくさん会った。
みんな、マジマジと少女を見つめてきたので、自然と俯きがちで早歩きとなっていた。
そのため、前から来た隊士に気づかずにぶつかってしまった。
少女「ヒッ……」
口から引きつった声が出てしまったが、謝ろうと恐る恐る顔を上げると、そこには、先程の青年、沖田総悟が立っていた。
総悟「大丈夫でさァ。俺だ。沖田総悟だ。」
と、少女を落ち着かせるように、土方と話している時とは想像がつかないような優しい声音で語りかけた。
総悟「風呂に入ってサッパリしたろィ。ちっとばかり話を聞かせちゃァくれねェか。」
優しく少女へ聞いた。
きれいな優しい笑みを浮かべて。
そう、優しい笑みのはずだった。
。
総悟『まァ、俺の前じゃァ、拒否権なんてモンはありゃァしねェがなァ?』
。
が、次の瞬間には、真っ黒な笑みに貼り変わっていたのだった。
最初と全然違うじゃん。
少女が、総悟に対してこんな失礼なことを思っていたのを、総悟は知らない。
。
。
。
。
。
見知らぬ少女が廊下を歩いている。
隊士1「なあ、あの子めっちゃ可愛くね?」
隊士2「うお!ホントだ!めっちゃかわいい!
ちょっとお前声掛けてこいよ!」
隊士1「え?!ムリだよ!」
少女をマジマジと見ていた隊士達がこんな会話を繰り広げていたということを、少女は知らない。
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作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時