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『彼、既婚者で……日本に家庭があったんだ』
私は知らなかったとはいえ、不倫関係だったわけで……
奥さんに訴えられ、向こうで決まってたピアノ関係の仕事も契約破棄になって、違約金を請求された。
彼は、奥さんとは別れるつもりで逃げるようにイギリスに来てたらしいけど………
それもホントかどうか、今となってはわかんない。
『全部が信じられなくなって、何も手につかなくて…
毎日泣いて過ごしてた時……
ハル兄がイギリスまで迎えに来てくれたんだ……』
仕事でイギリスに来た時に会いに来てくれてて、その時、付き合ってる人の話もしていていたから…
両親や兄ではなく、助けを求めるようにハル兄に連絡した。
なんで俺じゃないんだって……後になって兄に拗ねられたけど……。
『違約金も、彼の奥さんから請求された慰謝料も…ハル兄が全部出してくれて………
しばらく、ハル兄のあのマンションで暮らしてたんだよね…』
自分が全部面倒みるから……って、両親や兄にもハル兄が頭を下げてくれて、弁護士まで用意してくれた。
『……引いたよね…?』
結局、告訴は取り下げられたけど、ピアノ関係の仕事も元に戻らず…音大も中退。
隠してたわけじゃないけど……
隼に言わないままなんて…やっぱりずるいよね…。
けど…嫌われたくなかった……。

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作者名:ひな | 作成日時:2024年12月8日 6時