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【第27話】 ページ30

親「……出て行って。」

「……え?」

校長先生を見送ったすぐ後、親戚のおばさんは小さな声で、でもはっきりと確かに、私にそう言った。

親「…もう、手に負えないのよ。」

その肩は、微かに震えているようにも見えた。

私はそのおばさんの言葉に硬直してしまい、何も言い返すことが出来ずにいた。

親「だいたい苦しかったのよ!女手一つで子供を養うなんて、苦しかった!」

俯かせていた顔をばっ、と上げ、おばさんは私の両肩を掴むと、訴えかけるような瞳をこちらに向けた。

親「それに、この家にも来るかもしれないじゃない!あんたを狙ってる奴らが!!」

大きな声を上げておばさんはそう言った。

強く見開いた瞳には、恐怖心が見え隠れしているようにも感じられた。

真っ白になった頭の中。

ただ一つの言葉が、自然と私の口から零れ落ちた。

「……私が悪いの?」

親「っ!!いいから出て行って!怖いのよ!!」

涙目になっておばさんは私に訴えかけた。

「…………そんなの。」

そんなの私だって怖いよ。

気がつけば、そんな言葉が私の頭の中を全て支配していた。

私だって怖い。

私が一番怖い。

命を狙われているのは私だ。

女手一つで育てるのは苦しかった?

私を狙っている奴らが家に押しかけて来るのが怖い?

…それって私が悪いの?私何もしてないよ。

頭の中で、ぐるぐるとそんな言葉が飛び交っていく。

親「私まで巻き込まないで!!」

そう言われ、ぐわんと視界が揺らぎ、バランスを崩しそうになる。

グッ、と肩を掴まれたまま、玄関の方へ押し出されたのだ。

親「出てって!!!」

ガチャ、と開かれた扉の先へと無理矢理押し出される。

もう抵抗する気にもなれなかった。

すっかり暗くなってしまった外へと放り出され、ガチャ、と扉が閉まり、更には鍵が閉まる音が聞こえた。

お先真っ暗って、こういう事なんだな。

私はふと、ポケットに入っていた、ななもり君に渡されたスイッチを取り出した。

……こういう時に押すのは迷惑なんだろうか。

今の私は別に敵に襲われた訳でもない。家を追い出されただけだ。

私情で呼び出してしまうのは、やっぱり迷惑になってしまうんだろうな。

そう思い、私はため息をついて、スイッチをもう一度ポケットに戻した。

鞄も家に置いてきてしまったし、今私が持っているのは、スマホとスイッチと財布くらいだった。

どうしたものかと考えていると、不意に後ろから声が掛けられた。

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くりボッチ - 続き気になるので頑張ってください!!無理しないでくださいねヽ(´ー` )ノ (2021年8月2日 19時) (レス) id: 7d59f0ef3f (このIDを非表示/違反報告)
赤猫君。(プロフ) - ひなさん» 続き気になる...更新楽しみにしてますよ!!!応援します! (2019年10月13日 22時) (レス) id: 8740c32d82 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - すごい面白いですね 次の更新も楽しみに待っています (2019年9月16日 21時) (レス) id: 8a1a177507 (このIDを非表示/違反報告)
運子 - 何でこんなに面白いんですか?え?何で?何でだよオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙。。。スイマセン (2019年7月30日 0時) (レス) id: 794c83e2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん丸 - え????おもろい( ゚д゚)更新がんばってくださぁぁぁぁぁぁぁぁぁい! (2019年7月26日 18時) (レス) id: bd2dd5a67e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな | 作成日時:2019年4月22日 16時

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