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百八十八話 絶対の淵 ページ29

それから、二人はバーで良く会うようになった。
何度かデートをして、自然のうちに男女の関係になっていった。

そして二年後、彼は美麗にプロポーズをして、密かに式をあげた。

彼はその事を、いち早く親友の正尚に伝えようとした。
実はこの二年、彼は美麗と付き合っている事を正尚に伝えてはいなかった。

だからこそ余計に緊張したが、親友におめでとうの一言を言って欲しかった。


だが家に帰って正尚が康太に発した言葉はすまない、という言葉と、親友からの土下座だった。

何と正尚は、知人の借金連帯保証人に、康太の名義を使ったのだ。
康太は顔も知らない人間のせいで、自分まで借金を負った。

正尚「すまん…。本当にすまん。殴るなら幾らでも殴ってくれ。俺が金を用意する。」

康太は初めて他人に対して強烈な殺意を覚えた。
二十数年親友やってきといて、どういう仕打ちなのだろう。
康太は昂る気持ちを何とか抑えた。

康太「いくらなんだ?」

正尚「……………二億四千万。」

ぐらり
康太は激しい目眩がした。
二億四千万?どうやったらそんな金が用意出来るというんだ?

康太は思わず、正尚に手を出していた。
まるでサッカーボールのように、正尚を乱暴に蹴っていた。

そして胸倉を掴み、頬を殴った。

正尚は抵抗しなかった。
ただただ「ごめんな…。ごめんな…。」
とうわ言のように呟いていた。


それから康太は死に物狂いで働いた。
今の仕事の給料だけでは足りず、バイトを幾つも入れた。
怪しい密売に手を出しそうになった事も多々あった。

睡眠時間は二時間以下で、仕事まみれで休みも無い。
そして金は集まらない。
その疲れとストレスを康太はいつも正尚にぶつけていた。

康太「お前が!!俺の人生滅茶苦茶にしたんだ!死ね!死ね!」

美麗と結婚して、小さな家庭を築き上げて、その小さな家に正尚を歓迎する。

そんな康太の小さな幸せを親友である正尚が壊した事が、何よりショックだった。

この頃の康太はもう、何もかもどうでも良くなっていた。

もう死んでるのも、生きてるのも、同じだった。
だったらもう、死んでしまおう。
そう思った。

百八十九話 ごめんな→←百八十七話 一目惚れ



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設定タグ:ヤンデレ , 狂愛 , 名前変換オリジナル   
作品ジャンル:恋愛
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日名無 りん(プロフ) - NZMさん» ありがとうございます!!!!綺麗なんて……!!!光栄です!!! (2019年12月3日 23時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
NZM(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても綺麗な作品だなと思いました! (2019年12月2日 23時) (レス) id: 13f970b2f4 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - まりもさん» それは本当に良かったです!皆様のお陰様で無事完結を迎えられました! (2019年7月27日 21時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
まりも - ヤンデレ系は苦手なのですが、これは続きが気になるほど面白かったです。完結、おめでとうございます! (2019年7月27日 14時) (レス) id: 6b2aac275b (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - 日名無 りんさん» マジか衝動でここまで描けるのすごい (2019年7月25日 15時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:日名無 りん | 作成日時:2019年6月21日 18時

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