依存性10 ページ12
『A、愛している。』
『お前は誰よりも美しい。』
『僕はお前が何よりも好きだ。』
私は何時も龍之介から貰ってばかりで、彼に何か出来た事は無い。
ドアノブに手を掛け扉を開けると、視界には久方振りの宙が映りこんだ。
私の過ごす部屋には窓が無い。硝子越しに外を見る事さえ無かったから、余りの明るさに目が眩む。
A「外、何時ぶりだろう…。」
曖昧な記憶を辿りに、ヨコハマの街中を歩く。
頬を撫でる風も、澄んだ宙も、暖かい日光も、私の身体は忘れかけていた。
然し随分と外の世界と隔離されていた身体は、道行く人々への慣れを失っている。
人と人との間を歩く事に、随分と手間取ってしまう。
A「………っっ。」
次第に激しい吐き気を覚え、足がもたついたその時……
ドンッ
A「きゃっ！？」
不注意で通りすがった人に肩をぶつけてしまった。
A「あ、す…すみません！」
相手の方へ振り返り勢い良く頭を下げると、頭上から声が落下される。
「あたた…。あ、大丈夫？」
視線を上昇させれば、そこには私と同い歳程の、白髪の少年が眉を下げていた。
A「私は、大丈夫です…。貴方は……？」
久しぶりに龍之介以外の人と話した。
其の事実が、無意識のうちに拳を震わせた。
大丈夫…。龍之介と話している時と同じだと思えば……。
然し相手の少年はまるで日の光の様に優しい笑みを浮かべた。
「僕は全然大丈夫ですよ。貴方に怪我が無くて良かった。其れより、大丈夫ですか？随分ふらふらしてましたが……。」
A「…………あ……その………。」
何と答えれば善いのか。
何と答えるのが正解なのか。
返答を探しグルグルと頭を巡らせても、答えは見つからない。
A「ごめんなさい……その、悪気は無くて……。」
身体が小刻みに震えだし、視線は自然と降下する。
視界は歪み、惨めさと嫌悪感が蠢き出す。
嗚呼、私……惨めだ。
「大丈夫ですよ。あちらで少し休みましょうか。」
私の肩に手を置いた相手は、聖母の様に優しい言葉を落とした。
顏を上げれば、その言葉に相応しい優しい笑みを貼り付けた相手は開口した。
「僕の名前は敦。中島敦って云います。」
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琴葉ちゃま - なんかこれ見てたら私も芥川に依存されたいなあって思いました。あととても面白かったです！続きかいてほしい (2023年2月25日 21時) (
レス) @page16 id: cbdf318171 (このIDを非表示/違反報告)
dream(プロフ) - はじめまして！依存してるやつがれ可愛すぎて最高です…！ (2023年1月12日 16時) (レス) id: 341cfb323f (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - ア、等々龍と虎が闘うのか。 (2021年1月15日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - もう如何なっても良いや、エイ！ (2021年1月15日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - だよな。甘いのは。甘過ぎるのは一寸…だね…。 (2021年1月15日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日名無 りん | 作成日時：2020年2月17日 23時
