消えた八月 (ページ1)

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【原子爆弾落下から74年。】

という見出しの記事。
記事には原爆ドームの写真が貼られていた。

私は、その原爆ドームの写真に酷く心を奪われていた。

「真希(まき)ー！」

隣から私の頬をつついてくるのは、友達の望菜(みな)。

望菜「もー真希ったら、何をそんなに熱心に読んでるの？」

私の読んでいる記事を覗き込みながら、きょとんとした表情をつくった。

望菜「凄く集中して読んでたね。」

真希「え………？そ、そんなに？」

望菜は真顔で頷いた。

望菜「うん。なんか何かに取り憑かれたみたいだった。」

何を言っているのかこの子は…………
私は窓の外に目を向けた。
一面に広がる向日葵畑。

青空と向日葵畑は、まるで双子のようにどこまでも広がっていた。

向日葵は、太陽に向かって、真っ直ぐと伸びている。

ガタン、と電車が揺れた。

「おーい。お前らもうすぐで降りるから荷物まとめろー。」

先生が指示を出すと、電車は直ぐに原爆ドーム前駅に停車した。