骨の髄まで染め上げて【完】

十一話 あんたのせいで私は ページ11

プリントを顔から離すと、さっきの表情とは打って変わって、母は笑っていた。

目には感情が無くて、虚ろなのに口角だけが異常に上がっている。

ケタケタと不気味な笑い声を母はあげた。


母「だったらあんたが殺してよ。私に酷いことした奴も。私を笑った奴も。私を捨てた奴も。私を知らない奴も。」


「皆皆殺して!!!」

殺す、という意味は、知識の少ない当時の自分にもよく分かった。


人を殺すという事＿＿＿＿。

その人をこの世から抹消するという事＿＿＿＿。


母「もう遅いの！あんたが生まれてきちゃったから！！あんたのせいで私はこんな不幸な目に合うの！！あんたのせいで何も変わりゃしない！！あんたのせいで全部上手くいかないの！」



"あんたが生まれてきちゃったせいで！！！"



涙はいつの間にか止まっていた。

僕は

お母さんの役にたつ事は出来ないのだと。








「お母さん…。」

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