罰ゲーム (ページ42)

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【ちゃんとお家に帰れた？】

たった一言しかない文面。
その一言に込められた俺への優しさと愛情。

意識があって、丸にしっかりと愛されたのは何年ぶりやったんやろうか。
丸は本当に付き合ってた頃と何も変わらない手付きで俺を抱いたから、勘違いしそうになった。

俺って、丸に愛されてたんやなぁ。

そう思えるほど、丸は優しかった。
全てが丁寧で、俺を優先してることを嫌でも感じてた。
俺の反応一つ一つに嬉しそうに微笑むから、俺もそんな丸を見て嬉しくなった。

でも、俺らは付き合ってない。

結局、丸に想いを伝えることも出来ずにまた抱かれてしまった事実だけが残された。
こんなんやったらセフレと一緒やん。

「…………すきやで」

漏らし忘れた言葉を今吐く。
もちろん返事はないから、肯定も否定もない。

「めっちゃ、すきやねんで」

調子に乗った俺は独りぼっちの部屋で何度も呟く。
頭の中の丸がその言葉を聞いて微笑んでくれる。

「意味わからんぐらい、すきやねん、おまえが」

涙がポロポロと溢れる。
胸が苦しくて、息が出来なくて、頭が痛い。

何度でも後悔すると思う。
でも、その度に俺は“間違ってない”って言うと思う。
丸と別れたことは、正しかったって。

丸の負担になりたくなくて。
丸に依存してる自分を消したくて。

丸と続いていく勇気がなくて。

結局は自分勝手なのは、俺やった。
丸はそんな俺を受け入れた。
優しい丸やから、何も言わなかったのかな。
それとも、ホンマに別れようって思ったんかな。

丸、今でも好きやで。
この想いは、受け止めてくれやんのかな？

同じことを永遠にループしてる。
同じことで悩んで、同じ答えを出して、また同じことで悩んで、それをループして。

『丸ともう会わんといて』

俺も、出来るならそうしたいわ。
けど、会いたくて仕方ないねんもん。
俺は自分勝手やから、やっぱり会っちゃうよ。

「…………会いたいな、まる」

無意識にこぼれた本音がまるで届いたように携帯に通知音を鳴らせる。
送り主は思い浮かべていた人からで、俺は飛びつくようにスマホを触る。

【昨日のことは、ちゃんと事実やからね】

疑ってなんか全くなかったのに、丸は何故それをわざわざ送ってきたんやろうか。

『この前と同じことしてあげようか？』

ちゃんと、同じことしたってこと？
前回も、俺を抱いたってことを改めて伝えてんの？

「……あほちゃう」

可愛くない言葉と一緒に涙が溢れた。