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「俺に嫉妬したんか」
「そういう言い方すんなや!」
「やってそうやろ?俺みたいにヒナに甘えて欲しいんやろ」
「〜〜〜っ」
「でもそれは横、無いもの強請りやぞ」
すばるが真剣なトーンで当たり前のように言ってくる。
俺は「ないものねだり?」とすぐに聞き返した。
「確かにヒナは俺の前で弱いところ見せてくれたかもんしらん。けど、それ以外の姿は全部お前に見せてたぞ?横に対しての信頼度は引くレベルやぞ?それ以上をなんで望むねん」
「っ、そういうことちゃうねん!!!俺に気使ってるヒナが嫌やねん!!彼奴がこれ以上無理してしまうのが嫌やねん!それを無理矢理じゃないと止めれへん自分がもっと嫌やねん!!」
勢いよく言い切ればすばるは嬉しそうに笑った。
「なに笑ってんねん!!」
「いやぁ、めっちゃ素直になれるやんって思って」
「はぁ!?」
「どうせその日から会話も殆ど出来てないんやろ」
「ゔっ、それは……「その素直な思い、そのままぶつけろや」
「…………それが出来たら困ってへんわ」
すばるは相変わらず嬉しそうに笑ってるし、酒がさっきよりも進んでる気がする。
「素直に言葉伝えへんと大変なことなるで」
「なにがやねん」
「…………他の奴らは大丈夫そうか?」
「?……最近はよく3人でスタジオ入ってるで」
「亮は」
「はっ?」
「亮はどーや?」
「…………すばる、冗談なら笑えんぞ」
「冗談ちゃうわ。お前との約束やったやろ?彼奴らのこと見といてなって」
「………………錦戸さんはもう見ることも出来へんけど?」
すばるは俺の言葉にさっきまでの笑顔から180度変わって不機嫌そうな顔をした。
「そうやっていつまでも亮のこと拒否したんなや」
「拒否なんかしてないわ。ただ……今は“俺ら”のことで手一杯やねん」
「なんでそんな頑ななん?俺の時はもう少し早い段階で受け止めてくれてたやんか」
「………………すばるは知らんからやん。どっくんが、居らんようになってから……丸が………………」
そこまで言ってすばるは多分、察したんやろうな。
なんだかんだ丸と通じ合ってたすばるやし。
「…………でも、亮のことも見たってな。ずっと寂しがり屋なうさぎちゃんやねんから」
「……………………わかった」
何となく話を終わろうの雰囲気が出ていた。
そこから俺とすばるは全く関係ない話をした。
俺はすばるの話をもっと早く聞けば良かったと今なら思う。
あんな事が起こるぐらいなら。
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作者名:ひなまる | 作成日時:2022年6月27日 17時