罰ゲーム (ページ36)

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黒side ページ36

「最近、ヒナと喧嘩でもしたんか？」

目の前の男は当たり前のように聞いてきて、その言い方に今でも俺らは同じメンバーなんかって勘違いしそうになる。
そんなん勝手な勘違いやってわかってるけど。

「なんでそうなんねん」

「いや、顔に思っいきし書いてるから」

「書いてへんわ」

すばるは俺の返答にケタケタと笑って嬉しそうにしてた。
俺もなんかその変わらん笑顔にちょっとだけ安心した。

「で、喧嘩したん？」

「…………してへんわ」

「嘘つくなよ、ってか俺には言っても別にええやんけ。もうヒナとも長いこと会ってへんのやし」

それを聞いて少しだけ悲しくなるのはメンバーやからなんか、同期やったからなんか、それとも実は寂しがり屋な彼奴を思ってなんか。

「…………俺には、彼奴のガス抜きをするのは無理なんかもしれへん」

「なんで？お前が一番適任やろ」

「………………適任は、お前やったやろ」

すばるは元々大きい目を更に開いて無言になった。
そのまま苦笑いに変わった表情で「ちゃうよ」とだけ言ってきた。

「横がしてこんかったから、俺が代わりにしてただけや。最初からヒナに必要やったんはお前やねんで？」

「………………なんやそれ」

「で、なんでそんなことなってんの」

何時だって多くは語らない。
いや、語ろうとはしないんか。
話を切りかえて、俺に話題を振ろうとする。
ホンマに、狡い奴や。

「………………彼奴、頑張りすぎて倒れたんよ」

「ほぉ」

「それで、無理矢理にでも休ませよう思て……それで、あの、その「横ん家連れ込んだんか」ハッキリ言うなや！/////」

「言うやろ、お前が言わんねんから」

「…………ほんま腹立つわぁ」

俺はそう言って残ってたワインを一気に飲んだ。
すばるはそんな俺を見て優しく笑った。

「不器用やねん、お前はヒナに対して」

「はぁ？」

「大切なんやったら、その思い真っ直ぐに伝えろよ」

「………………意味わからん」

「そういう意味では、丸はよう横に似てたで」

「丸が？」

すばるは焼酎を少し飲んで寂しそうにどこかを見る。

「彼奴は自己犠牲しすぎやねん」

すばるの言葉を理解は出来ひんかったけど、何となく丸に当てはまる言葉やなって思った。
丸はニコニコしてる裏でホンマは傷ついてるから。

嫌でも、それを実感したから。

「それより、ヒナの話の続き聞かせろよ」

すばるはまた話題を逸らすようにした。
今回は俺もそれに乗ることにした。