緑side ページ30
「丸ちゃん」
「ん?どーしたん、たちょ?」
「明日休みやんな」
「そうやで。ってか、たちょも休みやろ?」
「明日、俺と遊ばへん?」
「明日………ごめん、先約あるねん!」
ここまで予想通りやった。
明日のオフは割と久しぶりやったから。
やから、絶対に丸ちゃんは約束してるはず。
そう、亮ちゃんと。
俺はそれを阻止するために約束をしてる。
もうここまで来たら、何があっても亮ちゃんと会わせへんようにするしかない。
もう見て見ぬふりはせぇへん、丸ちゃんのことはこれ以上苦しめたくない。
亮ちゃんには悪いけど、もうこれ以上丸ちゃんのこと掻き回さんといて欲しいから。
「嫌や!明日絶対遊びたい!」
「そ、そう言われてもなぁ「その先約断ってや」め、珍しいなぁ……。どうしたん大倉?なんかあったん?」
こんな時でも年下扱いされるのはちょっと腹立たしい。
まぁホンマに年下やねんけどさ。
「何もないよ。ただ明日は丸ちゃんと一緒に遊びたいだけ」
「うーん……」
丸ちゃんはちょっと考えた後に「あっ!」と何か閃いたような顔をした。
そしてニコニコと微笑みながら「じゃあたちょも一緒に来る?」と言った。
「え?は?」
「やって、それならたちょとも遊べるし、先約も断らんで済むし」
「い、いやいやいや!!それはやばいやろ!!!!」
「………やばい?」
こいつは何考えとんねん!!
亮ちゃんと俺と丸の3人とかカオスやろ!!
俺の立場なに!?仲介人か!?
そんなん絶対嫌やねんけど!!
ってか、丸ちゃんと亮ちゃんが会うのがそもそもアウトやねんから!!
「大丈夫やでたちょ!久しぶりに3人でも楽しいし!」
「いやいや!やから、俺だけアウェーすぎるやろ!?」
「そんなことあるわけないやん!やって明日の先約
章ちゃんやで」
章……ちゃん…………?
丸ちゃんの言葉に力が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。
丸ちゃんはそんな俺に「大丈夫!?」とすぐに背中を摩ってくれた。
ごめんやけど、そんなん違うけどな。
「…………なら、3人でもええかな」
「んふふ♡おん!久しぶりの同期組で楽しもう♪」
「ホンマは丸ちゃんだけ先輩やけどな」
「それは違うから!」
俺は何とか丸ちゃんを弄る言葉を話せたことにホッとしながら、頭の中でヤスのことを思い浮かべる。
あの日見たヤスの悲しそうな表情が浮かんで消えない。
明日、何となくヤスに会うのは気が引けてしまった。
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作者名:ひなまる | 作成日時:2022年6月27日 17時