罰ゲーム (ページ20)

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ファンの間でも散々言われてた。
この曲を歌えば、頭に浮かぶのは昔のことだと。
当たり前だがそんなつもりで作った訳ではない。

ただ、それは表向きの俺の意見。
もしかしたら、少しは頭に浮かんでいたのかもしれない。
いや、確実に名前から連想させてしまう時点で1%はいるのだろう。

確か丸と別れた後すぐに作った歌だった。
題名も最初は違ったはず。
けど、頭に浮かんでしっくり来た題名は《罰ゲーム》だった。

だからやろうな。
始まりが罰ゲームやった俺らの終わりを飾る歌にはお似合いの言葉やと思った。

報われたら良いって思ってた。
本気であの時は、もう二度と丸との関係性を戻す気なんてなかった。

やのに、久しぶりに会ってしまったから。
苦しくて、もどかしくて、何も出来ひん今の関係値が少し嫌で。
でも、このまま壊れてしまうのも嫌で、何も言えへん。

ホンマは分かってる。
もう、出会ったあの日の時点でわかってた。

俺の中の丸が昇華するなんてこと有り得へんわけで。
会ってなかった分、心の奥に仕舞われてただけで。
出会ってしまったら、そんなん関係ないことやった。

なぁ、丸。
やっぱり俺、まだお前のこと好きみたい。
別れを告げたのは俺やけど、勝手なこと言ってる自覚あるけど。
無意識に思い出してしまう程、ずっとお前に囚われてる。
丸は、俺の事どう思ってるんかな？
いつから俺のこと好きやったん？
付き合ってる時、どんなこと考えてたん？

なんであの時、あんなあっさり別れを受け入れてくれたん？

聞きたいことはめっちゃあるけど、どれも聞けへん。
そんなこと聞けば、全部終わってしまう気がしたから。

「亮ちゃん、あんま飲みすぎたら明日しんどなるで？」

急に我に返ったように丸の言葉が耳に入ってくる。
丸は俺から酒を奪って、残りを飲み始める。
あ、関節キスや、なんて思春期みたいなことを考えてしまう俺はもう末期や。

「……まるちゃん」

「ん？どーしたん？」

「…………酒、返せ」

酔っ払った脳は理性を飛ばしていて、俺は行動に移す。

久しぶりに触れた唇は少しだけかさついていて、でも何も変わってない感触やった。
それだけで泣きたくなって、俺は誤魔化すように丸の首に手を回した。

記憶はそこからフェードアウトしていった。