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ロボロが通信に応えた__。
俺が見た未来では俺は皆の安否を気にしていた筈だ。
この応答によってその心配をする必要が無くなった。
…間違いない。
予測から未来が少しズレたのだ。
これが良い方に転がったのか、悪い方に転がったのか今はまだ分からない。
「動くな!動いたら撃つぞ!」
兵士が言った。
ありきたりな台詞だ。
そんなことを言われても俺は弾丸を切ることが出来る。
これくらいの脅しだったら気にせず動ける。
しかし、
θ「撃つのは動いた者ではない。自分が動いたら相手が動く。そう思え」
玉座から立ち上がり、国王自ら俺達に銃を向ける。
そうだ。
俺とゾムは互いに互いを人質に取られる。
作戦立案時にゾムに銃弾を避ける自信はあるか、と聞いたところ流石にないで、と答えられた。
つまり俺は今動けない。
ここで動けば自分ではなくゾムが死ぬ。
…その未来も見えたのだ。
θ「…ナイフをしまえ。そして両手を上げて部屋の中央まで来い」
俺とゾムは大人しく従う。
『…速く殺した方が良いんじゃないか?何故殺さずにこのような真似をする』
俺は予測した未来の通りに事を進めようとする。
コイツは確か、世界的脅威となったA=スコールが俺であると気付いていて俺を手駒にしたがっている。筈である。
.
.
.
θ「_実の息子を殺す訳がないだろう?」
_____は…?
国王は俺の目の前まで近づく濁った灰色の瞳で
俺を見つめる。
θ「私の名前はシータ・スカウル。お前の__
父親だよ」
灰色の瞳からでる圧で押し潰される。
その圧に耐え切れず俺は膝の力が抜ける。
θ「そんなに怖がらなくても良いじゃないか。
父さんだぞ?昔みたいに遊ぼうじゃないか」
こんな未来見ていない。予測していない。
θ「おい、コイツの記憶はきちんと書き換えてから
山に出したのか?反応が予想と違うではないか」
こんなの、違う。違う。
呼吸がままならない。過呼吸、か…?
zm「Aッ_」
θ「口を挟むな」
いやに低い声。
俺の背中を撫でながら大丈夫だ、と言ってくる国王の優しさが不快で。気持ち悪くて。
θ「おいおい、こんなところで吐いてはダメだろう?
お仕置きだ」
国王は俺の右脚を撃った。
『ア"…ッ』
違う。ちがう。チガウ。
俺が見たのはただ戦力として俺を欲しがる国王で、
息子として俺を迎える父親じゃない。
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りと - お疲れ様です!何と言ってもあの話が…と言いたいところですが何故か一番好きなのは作者様の敬語でユニークなことを言ってる時ですかね…(何だこいつ)兎にも角にも、楽しませて戴きました!面白い作品を世に放って下さり有難う御座います!! (7月24日 9時) (レス) @page50 id: ffe5a6a019 (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - わんぱんさん» そういうことです!読んでいただきありがとうございました! (2020年11月22日 20時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
わんぱん(プロフ) - ああああ!!!61とか紛れ込んでると思ってたがそういう事か!すごい面白かったです!感動しました!素敵な作品ありがとうございました! (2020年11月20日 7時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
さささ(プロフ) - れいんさん» ありがとうございます…! (2020年4月23日 19時) (レス) id: 328f3541a2 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - お疲れ様です。とても感動しました。 (2020年4月22日 14時) (レス) id: 4d71c550a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さささ | 作成日時:2020年3月18日 8時