短編小説 /愛してるから/ ページ14
――――『首にキス』
”大好きだ”
”愛してる”
その言葉が鬱陶しく感じ始めたのは一体いつ頃からだろうか。
始めて告白されたのは高校一年生の５月のこと。道に迷っていた彼を助けたのが間違いだった。
今は誰とも付き合う気はないとはっきり断ったはずだった。
しかし、「好きな人がいないなら」だとか「僕はずっと貴方のことを愛している」なんていう反吐が出そうなほど重い言葉を毎日のように贈られる。
手紙だとか、メールだとか、それはもう様々な方法で。
彼のせいでメールアドレスも電話番号も変えた。なのに何処から情報を手に入れているのか、彼からの告白は終わることを知らない。
俗に言うストーカー、とか、ヤンデレ、とかそんなやつなのだろう。
直接被害を受けた訳でもないので、そのまま放置していた。
――それがいけなかったのだ、と今なら痛感できる。
塾の帰り道、暗い夜道。時間はとうに午後１０時をまわっていた。
「遅くなっちゃったな…」
腕時計を見つめ、彼女は早歩きで家へと向かう。
コツコツコツ。
彼女の靴音が反響する。
ザッザッザッ。
彼女のものではない靴音が反響する。
「！？」
付けられてる―――！！
彼女は走りだした。入り組んだ路地をめちゃくちゃに曲がって追ってくる彼を撒こうとする。
しかし男には到底かなわず、すぐに追いつかれ、壁際まで追い詰められる。
「―――ッな、なによ……！」
人気のない路地。助けを呼ぼうとしたが、声が出ない。恐怖で足が震える。
彼女の顔の横に手をつき、無言で彼女を見つめる彼の顔は逆光で見えない。それが更に彼女の恐怖心を狩りたてる。
「どうして…」
彼が言葉を発する。一文字ずつ、丁寧に綴るように。
「どうして、俺を避けるの？」
突飛な質問に彼女はますます訳が分からなくなる。
「貴方が毎日告白してきたり、後を付けたりするからに決まってるでしょ！」
その言葉に彼も少し苛立ったらしい。
「どうすれば俺の想いは伝わるかな…」
彼は不意にその長身を屈め、彼女の首元にキスをする。
「な、何するの！？――痛ッ」
いや、それはキスと言うには少し乱暴すぎたのかもしれない。
「覚えておいてよ。俺は君に振り向いてもらえるまで諦めないから」
彼はそう言って立ち去った。
その場には、首にキスマークを残し呆けた顔で立ちすくむ彼女が残されただけだった。
――――『執着』
短編小説 /あたしの想いは伝わらない/→←短編小説 /純白のドレスは/
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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8
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容姿端麗に生まれ変わり隊(プロフ) - 『頬』と『額』は親しみ感が溢れてていいと思いました(o^−^o) (2019年4月29日 13時) (
レス) id: 26de7c6d79 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - ちなみに頬へのキスは海外だと挨拶に近いですね。私も海外に住んでいるので親しい人とは頬にキスします。 (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - 月が綺麗ですねから来ました！！鼻梁は鼻筋の事ですよ。面白かったです！こんなことをしてくれる彼氏が欲しいです。続編も楽しみにしています！頑張ってくださいね！！ (2017年2月26日 6時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - とりあえず完結しました〜！皆さま本当にお付き合いありがとうございました<(_ _)>近々続編を作るつもりなのでそちらも是非よろしくお願いします！ (2017年2月11日 23時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - のわあああ、意味が意味なのでヤンデレ続きになって申し訳ないです……全然純愛じゃない…キスの格言に相応しくない…… (2017年1月31日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零ーﾚｲー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時：2016年8月31日 18時
