来世でお会いしましょう

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「……」



『……』



お互い無言のまま、兄さんの部屋に向かう
無言だけど私の手を握る力は強くて、やっぱり大好きだなと思う。


小さい頃からいつも弱虫な私を守ってくれていた
だから勘のいい兄さんは私が殴られたりしてる事に気づいてる
でも、迷惑かけたらダメだから、何も言わないでと伝えた



「入って、ベッド座ってね。
友達来てるけど…」



『まふさん？』



まふさんは兄さんの親友で小さい頃から遊んでもらってる。兄さんみたいに優しくてふわふわしてる



「そう、あいつは手当てとか得意だからな」




ほら、と背中を押されて部屋に入る



中にはベッドに座って本を読んでいるまふさんがいた
ヘッドホンをしてるからかこちらに気づいていない



どうしようか、肩を叩くのもいいけど私みたいなゴミが触ったらまふさん怒るよね




私はまふさんから一定の距離を取って床に座った




『まふさん、まふさん』



「……？」



とんとんと床を叩いてまふさんの名前を呼ぶ。
気づいてくれた？




『まふさん、こんばんは』




「あ！Aちゃ…ん、…どしたの？その傷…」




あ、気づいてくれた。
でもまふさんの顔はみるみる強ばっていく

ああ、ごめんなさい。
読書をこんなクズが邪魔したから、怒ってるんですね。ごめんなさい。




『ごめんなさい、読書してたのに…あの、部屋、、帰ります』




急いで部屋を出ようとすると、まふさんに腕を掴まれた
あ、そこ殴られて強くぶつけた所なのに




「質問に答えて。どうしたのその傷」



ぐっと手に力が籠る



痛い




痛い、よ




頭の中で今日の事がフラッシュバックする。
バチバチと黒い電気が弾けるみたいに、





足がガクガクと震える





『い"った……離して！！やだ！！お願い、します！！やだやだ！！離して痛い！！お願いします！！なんでもするから！！痛い！！やだ…痛い、！！！』



「え？…ちょ、」





『お願いします…痛い…なぐらないで…いたい、いたいよ…兄さん…おかあさん、おとうさん…いたいよ……』




「Aちゃ……ん」





『やだ！！！』




ばっと腕を振り払って部屋から出る
涙が止まらない


頭いたい。お腹いたい。寒い。体がいたい。






心がいたい。

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