万事屋の坂田くんは狼少年を愛しすぎている(参)

１０１ 瞳 ページ14

続けて言う




貴「お前もだよ、迫田茨
えらく“叶様”にご終身みたいだけど、カノウはお前をどう思ってんだろうな？
あァ、きっと扱いやすい駒くらいにしか…」




そこまで言うと、迫田茨の手から離れた注射器が俺の右目をめがけて飛んでくるのを、避けて神楽に当たるとまずいと焦って右手で掴む




まさか注射器が飛んでくるとは思わなかった



怒ってこっちに注意がむくかとは思ったけど






茨「アンタに私と叶様の何がッ…！！」

叶「茨」




カノウの声に迫田茨が肩をびくつかせる




叶「…狼くん、君は少し口が悪いようだ
しばし眠っていてもらおうかな」




今まで1歩も動かず、ただ立っていたカノウがゆっくり俺に近づいてくる






貴「…神楽、今から新八を捕まえてる奴にこの注射器を刺す。
こっからなら投げて狙える。
そしたら新八と銀時連れて海に飛び込んで逃げろ、いいな？」



カノウを狙っても、解毒薬を持っているならカノウ本人、それを使われたら元も子もない


こいつらの逃げられる可能性を少しでも上げたい




神「え、そんなこと…そしたらAは！？」


貴「俺のことなら大丈夫
俺が強いこと、お前も知らないわけじゃないだろ？
それにカノウは俺をすぐに殺すわけじゃない。薬には耐性もあるし」


神「いやアル！私も一緒に戦うネ！！」


貴「お前は迫田茨を容赦無く殺せない」




1度友達だと思ってしまったから。

神楽の瞳が揺れ動く




神「、っ！！でも」








貴「あー…じゃあ依頼だ、依頼！
ここから3人で逃げて、金輪際この件には首も突っ込むな。
俺1人でなんとかできる。」



カノウの手が俺に伸びる



神「そんな…そんなの、」




迷ってる暇はないんだよ、




貴「お、らァッ！！！ ッ、！」

新/銀「「 ！？ 」」

叶「なっ！？」




ズキっと傷が痛む

多少予想よりズレたか…





「ぐ、あぁあ！！！！」




しかし見事、首筋に注射器が命中して、中の薬が新八を捕まえている男の体内に流れ込む




貴「じゃあ、頼むぜ、万事屋。」




トンっ、とまだ迷いがある瞳をした神楽の背中を押す





銀時を見ると、その赤い瞳と目が合った




貴「行け」



聞こえてはないだろう

神楽にも聞こえないくらいの小さい声だったから。

しかし俺の言わんとしていることを理解し、そして少し動揺の色を見せた銀時だったが、新八の方へ走って行き、3人海に飛び込む






俺は首に何かを刺されて、途端意識を手放した

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