じしょーへき

〃 ページ6

「…君に教える義理は無い。」




と、冷たく突き放すと、モンスターは、ゆっくり口角を上げ、



此の状況でも逃げようとしない何て､と明るい口調で言った。




「僕、君の事殺さないから、教えてよ。」




殺されないとしても、モンスターに正体を明かすのは禁じられている。



だから勿論、答えはNo、



…なのだが…



今の私は詰めが甘かった様で、




「…其の頭の輪と、羽は…もしかして君、天使？」




象徴でもある輪と羽を隠していなかったのだ。



尚、その答えは半分正解で、半分不正解だ。



まぁ、合っていようが合っていまいが…




「"元"天使！今は堕天して、堕天使になっ…た…」




私が自分から言ってしまった訳だが…




「…じゃあ、此れから宜しく！」




"堕天使"さん！と、悪戯っぽく笑うモンスター。



…随分と性が悪いモンスターに出会ってしまった…



ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ




「へぇー…名前はkillerって言うんだ…」




其の通り過ぎて驚いてしまった。



似合っているな。



…色んな意味で。




「よく見たら其の羽黒ずんでるよね。」




頭の輪も何か黒くなって溶けてるし。と私を不思議そうに見つめる。




「ていうかAちゃんさ、堕天使何だよね？」


「え？…うん。」


「僕等の仲間…っていうよりボスが堕天使何だよね。」




一応仲間が居たのか。



なら、仲間も相当変な人なのだろう。



…少し失礼な気もするが。




「あ、着いたよ。此処が僕等の家…って言うか、アジト。」




最初に出会った時よりずっと明るく笑っている。



私に紹介する気で歩いていたのか､とやっと理解する。



だが…



「…私、此処に来る何て一度も言ってないんだけど…」




此のアジトとやらに入ってしまうと、其の仲間に見られてしまう､という事になる。



此れは大問題だ。



其れと、なるべく戦争関係にあるモンスターとは接触してはいけないのだ。




「…此処に堕天使が居ると叫ぶって言ったら？」




だが、脅されてしまった。



羽と輪がある今の状態じゃ、誤魔化す事は出来ないだろう。



私には選択肢が無い様だ。



何と言うか、分かっているかの様にkillerは笑った。




「…入る。だから早くして。」




…と言うと、killerは光の無い目を輝かし、喜んだ。



何がそんなに嬉しいのかは理解出来ないな､何て思いながら扉を開けた。

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