じしょーへき

〃 ページ41

pa「兄ちゃん、最近変だよ？ずっと上の空だしッ！」

　
or「…そうか？…いや、そうかもな。」


pa「しかも、あの人間と王様は旅に出てしまった！」




サンズは弟に嘘を吐いた。



他の人にはアズゴアが居なくなった事や、ソウルが全て無くなった事もあり、知っているが…



自分の弟だけには話せなかった。



只、唯一の救いは他のモンスターが怒っていない事。



其れは少女が「親切」だからだろうか？



少女が「勇気」を持って皆と話したからだろうか？



恐らく、何方もだろう､とサンズは思った。



サンズは息を思いっきり吸い、弟に聞いた。




or「…なぁ、papyrus。オイラも、旅に出て良いか？少しの間。」




多少の沈黙。




pa「…良いよッ！僕、Undyneの所に居るから！」


or「heh、そりゃ良かった。」




弟からのOKの言葉に心の底から安堵した。



何故なら、OKされなかったら勝手に行くつもりだったから。



勝手に人が消える苦しさは二度も経験している。



だから、なるべくやりたくなかった。




「おい、人間が来たぞ！！」




そろそろか。



そうサンズが呟いた事に、誰も気付かなかった。




pa「人間ッ？其れは仲良くパズ…」


or「悪い、papyrus。家に戻っててくれ。」


pa「…分かった。変な兄ちゃん！」




弟の優しさに感謝した後、サンズは準備をした。



ギイッと扉が開く音がする。



ザッザッと雪を踏む音が響く。



"おい、人間。初めて会うのに挨拶も無しか？"



何時もならそう言うが、人間の体を骨が貫いた。そして、ソウルを奪う。



人間が何で？という顔をしている気がした。




or「"俺"は見張り何だろ？」




そして、サンズは進む。歩く､では無く、お得意の近道で。此れには、彼の期待と焦りが滲み出ている。



そして、バリアの前に現れた。



大切に思っていたAが居なくなる。其の過去も苦痛も骨の髄迄…




or「刻み込め､って言うんだろ？heh．」




そう自嘲気味に笑った彼は、ゆっくりと前に進んだ。待ってろ､と呟いて。



ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ



場は地上。人間のみが暮らす平和な場所に、あるモンスターが訪れる。




「おい、人間。此処での挨拶は知らないが、彼処での挨拶は覚えてるよな？」




──忘れてるとは言わせないぜ。



そう言いながら笑う彼は私の知っている彼ではない、本心。



つまり、彼自身だった。

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