じしょーへき

とどの詰まり。　murder ページ19

「い、嫌…来ないで…！！」

　


そう言って逃げ出したのはA。



俺の彼女…という訳ではないが、まぁそういう物と言っても過言ではない。



何で、Aにあんな事を言われているのかと言うと、俺がAを閉じ込めたからだ。



詰まる所、監 禁､という事だ。



其れでも、何でAが何度も何度も諦めずに逃げ出すのかが分からなかった。



何故なら、生活はちゃんと充実させているつもりだったからだ。



寝床、食事、風呂等々。



しっかりとした生活､いや寧ろ、充実過ぎる位だったと思うのだが…



何が､駄目だったのだろう。



Aが欲しい物は何でも与えた筈なのに、何でAは逃げ出すんだ？



全く理解が出来ない。



意味が分からない。



俺が何か悪い事でもしたのか？



…いや、した覚えは無い。というか、する訳が無いだろう。



俺がA以外のものを要求した覚えは無いし、寧ろA以外は要らない。



Aが居なくならない為に、Aを俺だけのモノにする為に、



監 禁しただけだろう。



汗がダラダラと流れる。



自分が少しばかり嫌われている事実と、もうAが何処か遠くに行ってしまった可能性。



其の二つが自分を焦らせた。




「…どうするか…」




其の思いが声にも出た。



…もしかすると、Aを捕まえた所で、また逃げ出すのではないだろうか。



そして、今度こそ完全に逃げられてしまうかもしれない。



今、此の瞬間で逃げられてしまうかもしれないが。



…いや、其れだけは絶対に阻止してみせる。



其れよりも…どうしたらAは逃げなくなるんだ？



うーんと唸る声が自分の喉から聞こえる。



そして、少しの間黙って考えていると、一つの案が浮かんできた。




「…嗚呼、Aを殺 せば良いのか。」




何故俺は、こんな簡単な事に気付かなかったのだろう。



殺 してしまえば自分だけのモノになるし、永遠に一緒にいれる。



何で最初からやらなかったのか不思議で仕方無い。



自分の口角は、異様な程に上がっていただろう。



其れも仕方の無い事だ。



何故なら、今からAが俺だけのモノになるのだから。




「heh…待ってろよ、A。」




今から、其処に行くからな。

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