顛末3 ページ12
風磨side.
俺は病院の方とマネージャーに頼み込んで、病院に泊まれるようにしてもらった。
明日は都合よくオフである。
今はもう、ひと時もAちゃんと離れたくない。
Aちゃんのさらに小さくなった手を握ったまま、ベッドにもたれかかるように寝てしまった。
朝、病室のテレビをつけるとこのニュースが。
かほちゃんは傷害罪、脅迫罪などで逮捕され、罪を認めているという。
Aちゃんはまだ目覚めなくて、このまま起きないんじゃないかと不安になる。
Aside.
気持ちいい、髪を撫でられている感覚がする。
目を開けると、そこには優しい顔をした風磨くん。
夢なのかもしれないと思いながら名前を呼ぶ。
「ふ、ま、くん。」
驚いた顔をした風磨くんは、それからとびきりの笑顔で
風「Aちゃん、おかえり。」
と言った。
「どこにも、行ってない、ですよ。」
風「そっか、じゃあ、おはよう。」
そういって風磨くんは、私を優しく優しく、抱きしめた。
風「Aちゃん、ありがとう。」
風「辛かったね。頑張ったね。」
今にも泣きそうな声で言う風磨くんは震えてて、私も思わず手を伸ばして抱きつく。
「風磨くん。お話、聞いてくれますか。」
私はもう、泣き出してしまった。
私の話をすべて聞いてくれた風磨くんは、私の涙が溢れるたびに、辛かったな、と拭ってくれて。
怖かった話も、ごはんが食べれなくなった話も、孤独だと思った話も。
風磨くんから電話をもらったときの気持ちも。
全部話したことを受け止めてくれて。
風磨くんは最後に一言だけ、「守れなくて、ごめん。」と言った。
風磨side.
「風磨くんがいなかったら、私だめでした。電話を頂いたから、かほちゃんと真っ向から戦おうと思えたし、この風磨くんからもらったバングルがなかったら、最後まで勇気が出なかったです。」
そういって見せてくるバングルは、俺が誕生日にあげたやつで。
ふわふわと微笑むAちゃんを久々に見たせいで、安堵と幸福感に包まれた。
Chu
気がつくと俺はAちゃんにキスしてた。
Aちゃんは真っ赤で口をパクパクしてて。
この場にそぐわないけど、元気ないつも通りの顔が見られて良かったなんて思ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 903人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2018年3月10日 19時
