音柱は恋人依存症

想い人、君は…。 ページ4

俺は炎柱・煉獄杏寿郎という。


本日同じく柱の宇髄が

とある料亭に柱を集めた。


指定された料亭へ入る。


驚いたことに、

そこには宇髄の継子であり

俺の想い人であるAもいた。


Aに触れることは

できないものの、

会えただけでも嬉しい。



恋がこんなにも

幸せなことだとは…。






「柱全員に伝えることがある」

とのことだ。

あらかた、

鬼についての報告であろう。








しかし、宇髄の報告とは

俺を悲しみへと導く報告だった。









宇髄とAが、

恋仲になったらしい。






聞き間違いかと思ったが

他のみんなが騒ぐので

聞き間違いでないと

俺の希望は打ち砕かれた。









泣きたい。









涙が目元に溜まるのが

分かったので

涙を落とさぬよう、

上を向いた。



堪えろ。

俺は柱だ。



分かっていたことじゃないか。





宇髄の方が

きっと1番Aのことを

分かっている。


Aだって、

自分が知る男の中では

宇髄が1番信用できるだろう。





元々、叶わぬ恋だったのだ。





明日からは、

人々を守るだけの生活。


それで良かっただろう。



Aのことは、

考えず。









『煉獄様…？？


どうかなさいましたか？』


思わず肩が跳ねた。


いつも通りにせねば、

と、口角を上げる。



煉「いや、ぼーっとしていただけだ！

心配をかけてすまない！！



にしても驚いた！」



Aは愛らしい声で

答えてくれた。


宇髄への恋心は、

胡蝶と甘露寺に

自覚させられたらしい。



煉「………なるほどな…」



胡蝶と甘露寺が言わなければ、

Aはずっと

恋心に気がつかなかったはずだ。


もし、俺が早く

君へ想いを伝えていれば。

いや、

伝えてはいた。


けど、君は鈍感すぎたんだな。



きちんと分かりやすく言っていれば






君は、

今頃俺のものになっていたのか？




笑っているのが

辛くなってきた。



『煉獄様、どこか痛いですか…？』


A、俺は心が痛いのだ。


煉「君は…、本当に…」

宇「ハイ。お終い」



「なんて鈍感なんだ」と言いたかったが、

宇髄に遮られてしまった。


宇髄が勝ち誇ったように笑う。



君が俺に

優しさを見せるたびに

恋心は燃え上がるだけなのに。


君は本当に鈍感だ。


あぁA、

今日俺は君に嘘をつく。


煉「幸せになりなさい」









諦めきれない。



宇髄、言っただろう。

俺は諦めが悪い男だ。

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