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「王よ。」
ピリピリとした空気が肌を刺す。
空気を通してノゼルさんの感情が伝わってくる。
その言葉は温度を持たぬ冷たさで発せられた。
「私は今宵、彼女との婚約を夜会を通して皆に触れた。それを撤回など出来ようはずがありません。」
言葉こそ丁寧だが、ゆっくりと告げられた音の端々から明確な怒りが伝わってくる。
部屋中が凍りつきそうな程の絶対零度の怒り。
「何より、彼女以外を私の相手に選ぶ事もない。ご理解頂ければ早々にお引き取りを。」
有無を言わさぬその迫力に、さすがの鈍い王様も空気を察してゴクリと喉を鳴らす。
その隣で魔法帝はのんきに「あちゃー。」と苦笑いをしていた。
「お、王命に逆らうと言うかっ‼ 」
「お怒りをお鎮めください、王命とは国民の為を思って発令するもの。それ以外で多用してしまえば独裁と思われても仕方ありませんよ。」
「ユリウス！おまえは余の味方ではないのか！？」
「私は王の臣下であると同時に彼らの上司です。彼らの意見に耳を傾け、それが正当であるならば汲み上げなければなりません。今回は、王がお引きください。」
「ぬぅ…。」
この場で味方するものは居ないと分かったんだろう。
王様は憤慨しつつもそれを受け入れた。
もうよい！と部屋を出ていく王様を追う魔法帝は、退室寸前に私にウインクを送った。
あとは任せておけということだろう。
「せっかくのお料理が味わえなかったわ。」
「急に飛び込んでくるから何事かと思ったぜ…。」
「王とはいえAを貶めるとは…‼ 」
「落ち着けレオ、過ぎたことだ。Aの事は我々が正しく理解していれば良い。」
王様の撤収で緊張が解けたのか口々に会話しだす。
多分、団長達は同じ王族という事で捕まったんだろう。
私の所属する団だとも知らずに、一緒になって私を責めてくれると思ったのかもしれない。
「あの、皆さん！ありがとうございました‼ 」
深く頭を下げる。
こんな私を庇ってくれた彼らに精一杯の感謝を。
「他の子が来たりなんかしたら、うっかり私が “遊び相手” にしちゃう所だったわ。」
「ネブラさん、その言葉に含まれる意味が怖いです。」
「ノゼル兄様が認めない奴なんて俺も認めねぇ。」
(このブラコンめ…)
「なに、事実を言ったまでだ。」
「そうだぞA！気にすることはない！」
「団長もレオも、本当にありがとうございます！」
その優しさで、言われた事など吹き飛んでしまう。
私は恵まれている。
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緋毬(プロフ) - メリアさん» 普段は隙が無さ過ぎて見れなさそうですもんね！興味深すぎます（笑 (2019年4月19日 23時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 前髪解いたらどんなノゼル兄様になるのか見てみたいですね！ (2019年4月19日 23時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - モンキッキーさん» いつもありがとうございます♪私もドキドキしながら作ってるので、これからも一緒にドキドキしてください(´∀｀*) (2019年4月14日 23時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
モンキッキー(プロフ) - とても面白いです！読むたびにドキドキさせられます！これからも更新楽しみにしてます、頑張ってください！ (2019年4月14日 23時) (レス) id: c0ef88c023 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月14日 22時
