2日目 ページ27
翌朝、昨日と同じくドレスに見立てた裾の長い服を着用して朝食をとりに向かう。
「おはようございますネブラさん。」
「あら、早いわね。」
廊下でネブラさんと遭遇し、挨拶を交わす。
「あぁ…後でその服変えましょうか。」
「え？」
「今日も歩くところからだけど、裾捌きはもういいわ。」
「はい…。」
その言葉の意味はよくわからなかったが、ネブラさんがいいというならいいのだろう。
今も教えてもらった通りに歩いては居るが、昨日の復習からスタートするらしい。
「あ、それとお兄様とソリドは早くに出たみたい。私は朝は簡単に済ますけれどあなたは？」
「あ、私も軽くで大丈夫です。」
「そう。」
正直な所、朝は飲み物だけで済ます日もある。
体力を使う以上は食べた方がいいだろうが、食べ慣れないほど食べて胃痛でも起こったら厄介だ。
「そうね、だったら…甘いものは好きかしら？」
「大好きです。」
「即答するほどなのね。じゃあ私と同じものを用意させるわ。」
食堂に着いてすぐ、ネブラさんは使用人に声を掛ける。
ここで頂く料理は毎回とても美味しいので自然と期待が高まっていく。
先に出てきた紅茶も、朝飲むのにピッタリな爽やかな口当たりだ。
「お待たせ致しました、オレンジシュゼットでございます。」
目の前に置かれたのは、オレンジ色のスープの中にクレープと果物が乗っているもの。
湯気が立っていて温かいのだと分かる。
柑橘系の香りとバターの香りが食欲を沸き起こす。
「いただきます…！」
ひとくち、口にした途端に広がるオレンジの酸味とクレープ生地の甘味。
スープにもオレンジがふんだんに使われているようで、さっぱりしていて食べやすい。
朝特有の胃の重さがスッと消えていくようだ。
「気に入ったようね。」
「はい！すごく！」
ネブラさんが朝にこれを選ぶ意味がとても良く分かった。
あまり食欲がなくても食べやすく、満足感もある。
かといって重すぎず後味もスッキリ。
「嬉しそうに食べるわね…。」
「えっ？そうですか？」
「お兄様がこの間うちで甘いものを用意させてた理由が良くわかったわ。」
「あ…ご存知で…。」
「たまたま帰ってくる用があったのよ。」
それは驚いた事だろう。
甘いものを食べないノゼルさんが家でお菓子を焼かせていたのだから。
少し気恥ずかしさを感じ、口を閉ざす。
ネブラさんは変わらずに微笑んでいた。
「さ、食べ終わったら行きましょうか。」
「はい！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緋毬(プロフ) - メリアさん» 普段は隙が無さ過ぎて見れなさそうですもんね！興味深すぎます（笑 (2019年4月19日 23時) (
レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
メリア - 前髪解いたらどんなノゼル兄様になるのか見てみたいですね！ (2019年4月19日 23時) (レス) id: edc4abbf43 (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - モンキッキーさん» いつもありがとうございます♪私もドキドキしながら作ってるので、これからも一緒にドキドキしてください(´∀｀*) (2019年4月14日 23時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
モンキッキー(プロフ) - とても面白いです！読むたびにドキドキさせられます！これからも更新楽しみにしてます、頑張ってください！ (2019年4月14日 23時) (レス) id: c0ef88c023 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋毬 | 作成日時：2019年4月14日 22時
