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「私はそろそろ戻らねばならん。」
店を出るや否や、ノゼル団長がそう言った。
そりゃ団長さんのお仕事は忙しい。お手伝いしてるからよく分かっている。
むしろこんなにゆっくり買い物や食事をしていて大丈夫だったのだろうかと心配になる。
しかしノゼル団長が仕事に追われるというのは何だか想像できないのできっと大丈夫なんだろう、うん。
「今日は本当にありがとうございました。お料理、とても美味しかったです。ご馳走さまでした。」
「構わぬ。」
何かここ数時間でノゼル団長のイメージが大分好転した気がする。
言葉こそ少ないものの、何だかんだ優しい感じだ。
きっと銀翼の大鷲でもそんな感じなんだろう。
「では、私はこれで…。」
「あぁ。」
しかし緊張するものは緊張するのである。
解放感!!!
背を向けたノゼル団長を見送りながらスーハーと深呼吸。
新鮮な空気を胸いっぱいに吸って…………
「見ぃーーちゃった。」
むせた。
「ゲホッゴホッ‼ケホ、ケホッ!ヤ、ヤミ団長っ?」
「おう、熱血真面目大王んとこの秘書。」
「ひ、秘書じゃな、ゲホッ、何なんですかケホッ。」
おーおー、落ち着け落ち着けと言いながら私の背中を軽く叩いてくれるヤミ団長。
いやこれアナタのせいだからね?騙されませんよ?
「いや、ギャンブルしてもうちょいしたら酒場で飲もうと思ってフラフラしてたらいつの間にかこんなトコまで来ちまっててよ。」
「散歩感覚で王貴界まで来たんですか…。」
「まぁな。」
ようやく咳も収まり、ヤミ団長の言葉に耳を傾ける。
一体何キロ歩いてきたんだこの人。
「したら面白いモン見ちまった訳ですよ。」
「面白いもの…?」
「あのプライドの塊さんとデートしてたろ?ヤミさん見ちゃったもんねー。」
「へ⁉ デート⁉」
ん?違うの?と小首を傾げるヤミ団長。
ムキムキのアナタがやっても可愛くないですからねと思いつつ全力で否定する。
だからお願いこれ以上変な噂は立てないで…‼
「でもおまえ結婚すんじゃねぇの?」
「………その話はどこから……。」
「ユリウスの旦那が俺も早く収まれって煩くてなァ。…アイツと結婚しないんなら、俺どうよ。」
「ギャンブルと煙草吸う人はお断りです‼」
「あー残念、こりゃ辞めらんねぇのよ。」
フーーっと煙を吐き出しながらヤミさんはゲラゲラ笑っている。
からかわれている、完全に。
「んで?熱血真面目大王とプライドの塊さん。どっちに嫁ぐんだ?」
だから何でだよ!
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緋毬(プロフ) - まゆさん» 感想ありがとうございます!今の所いい勝負なのでまだどっちに転ぶかわかりませんね…(笑)私も書いてて楽しいです(*´艸`*) (2019年4月7日 17時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - はじめまして!私はフエゴレオン様が大好きなので、ぜひそっちとまとまって欲しいです。あぁ……でも嫉妬するフエゴレオン様も見てみたい……(///∇///)ゞ (2019年4月7日 14時) (レス) id: 8902c85bfe (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - ありがとうございますヾ(*´∇`*)ノ頑張ります! (2019年4月4日 17時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
ジャンプ - 面白かったよ (2019年4月4日 16時) (レス) id: ea5f79410c (このIDを非表示/違反報告)
緋毬(プロフ) - ありがとうございます、今の所いい具合に進められているので、頑張って走ります(*`・ω・)ゞ (2019年4月4日 9時) (レス) id: ef0ebcf362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋毬 | 作成日時:2019年3月31日 23時