都市伝説系歌い手２。【歌い手】

｛８４｝side：うらたぬき ページ36

迷った。
一緒に回ってた坂田は「ええ匂いする！！」とか行って即露店に直行したしまーしぃは「お。生脚ショートカットの子･･･」とか呟きながら消えたしセンラは「トイレ行ってくるわ〜♪」とか言ってトイレとは真逆の方に行ったし･･･なんなんだ。

パンフレットも落としたし、これやっぱスタッフか誰かに聞いた方が･･･と思ってた時だった。




『犬派や、聞こえるかーい？
こっちは私が捌(さば)いとくから、好きなだけ撮ってもらって！なんならツーショットタイム入っても全然構わないから！
一般参加者のみんな！その被写体の犬派が歌ってるデモＣＤとかがａ１２で配布してるよー！！』




･･･ん？
いぬ、は･･･？

今のって、確かパンフレットに載ってた午前と午後の１回あるマイクでやる宣伝だよな。
声はやまネコだった･･･。


その声を聞いてか、人の流れが変わった。
･･･あっち行けば、あるのか？

そう思って俺もそっちの方に歩いて行った。
そして、ようやくたどり着いた。ａ１２。




うらた「･･･や、やっと着いた･･･」

眞弥「はーい、次の人どうぞー･･･って、あら？」

うらた「･･･よっ」

眞弥「あらあらまあまあ！
いらっしゃい！どれにする？」




やまネコはすぐに俺だと気づいたみたいだけど変に騒ぎ立てなかった。
助かる･･･。

物販情報とかは公開されてなかったけど･･･どうやらまだ少し残ってるみたいだ。




うらた「えっと･･･じゃあ、全部２個ずつと･･･デモＣＤを」

眞弥「はいはーい、それじゃデモ･･･おっ？」

うらた「？」

眞弥「おめでとうございます！
･･･ラス１だよ」




そう言って下に置いてるダンボールじゃなくて、テーブルの上に見本グッズと一緒に飾られてあるデモＣＤを手に取るやまネコ。
･･･ま、マジ･･･！？




眞弥「ではでは！
全部２個ずつで３５００円です！」




いつもライブやってる俺らから見てもかなり良心的な値段を現金で支払って、レシートも貰って全部カバンに入れた。
そしてデモＣＤも、ちゃんと受け取った。


やまネコは次の客を対応する。
俺は近くの壁際に背中を預けた。

数分後、「Mere×××のグッズ完売！！デモＣＤ配布終了！！」の用紙をやまネコがスペースの目立つ所に貼る。




うらた「･･･ラスト、１枚･･･」




カバンに入れずに手に持ったままのデモＣＤを見る。

･･･ラスト１枚貰えたとか･･･これ運命か奇跡だろ･･･！！

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