都市伝説系歌い手２。【歌い手】

｛７３｝side：あらき ページ25

nqrse「･･･なー、あらき」

あらき「安心しろnqrse。
お前が酔ってるから幻覚を見てる訳じゃない。･･･酔ってない俺にも見えてる」

nqrse「そうか。
･･････見えてるとしたらそれはそれでやばくね？」

あらき「うん、やべえパネェ」




目の前でくるくると、楽しそうに回る人。
･･･ここ路地裏だよな？
白いフードパーカーを着て紺色のズボンを履いてるんだが、まるでドレスを着てるんじゃないかと錯覚してしまう。
でもその手にはナイフ。･･･やばい。

何がそんなに楽しいのか、俺達２人の視線を浴びながらもそいつは凄く楽しそうな表情を浮かべてバレリーナみたいに回る。


･･･ヤバいと同時に、見蕩れている俺も居た。
なんつーか･･･あまりにも、綺麗だったから。
歌い手やってきて、こんなに無垢で無邪気な笑顔を浮かべる人間に会った事が無い。そう断言出来るほど、そいつの表情は心の底から「楽しんで」いる。

これ、止めるべきか･･･？


その内電池が切れたみたいに回るのをやめる。




「あー･･･楽しいな。楽しそうだな･･･楽しかったなあ！
ふふ、あはは♪」

nqrse「･･･あらき、お前ノリいい奴だろ。
ノってやれよ」

あらき「わり、無理」

「･･･さあ、フィナーレだ。
なんて楽しい時間！この楽しいと言う感情を感じながら、終幕にしよう！！」

２人「「！？？」」

「バイバイ」にこっ)




俺達に綺麗な笑顔を向けたと思ったら、空に向けていたナイフを･･･そいつは自分の胸に躊躇いもせずに突き刺した。そして、倒れた。

ッ･･･おいおいマジか･･･！


本当に一瞬の出来事すぎて、呆気に取られる俺とnqrse。
でも今ので酔いが覚めたのか、nqrseがハッとして女子高生みたいな顔に焦りの色を浮かべて倒れたそいつに駆け寄る。
ワンテンポ遅れて、俺も駆け寄った。




nqrse「っおい、大丈夫か！？」

あらき「と、とりあえず救急車を･･･！」


むくっ

「ふー」

２人「「おおおっ！？？？」」

「うん、これで感情全部出せた。
良かった良かった」




糸が切れた人形みたいに倒れてた奴が、何事も無かったかのように起き上がった。

び･･･っっくりした･･･！




「あ、すみません。
これオモチャのナイフです。お騒がせしました」

nqrse「お、おもちゃ･･･」




シュコンシュコンと手のひらに押し当てるナイフ。･･･お、おもちゃかよ･･･！

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