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「丈くんってさ、」

「ん?」


少しすると、小さく聞こえてきた声。
すこし体を離して、布団からひょこりと出てくる。


「優しいよな、⋯なんか、全部」

「そう?」

「うん、強引さが、無いっていうか」


自分で言ってて、よく分からなくなってきたのか、1人で首を傾げる流星。
綺麗な指がきゅっと握られて、んん?という顔をするからつい笑ってしまう。


「笑わんで、」

「ごめんごめん」

「丈くんは、その、⋯⋯めちゃくちゃに抱き潰したいっ、みたいな事ないん?」

「へ?」


クスクスと笑いながら次の言葉を待っていたらまさかのちょっと真面目な顔をしてそんなことを言うから間抜けな声が出る。


「⋯⋯ないん?」


よく見れば、顔が真っ赤だ。
布団の熱のせいじゃないのは見て分かる。


「もしかして、いつも足りないん?」


ちょっと不安になって、そう聞き返してしまった。

でも、すぐにふるふると首を横に振るから、安心する。



「⋯⋯あるで、あーめちゃくちゃにしてぇーっ、て思うこと」


もちろん、何度も。


流星がいつも以上に可愛く見えて、どうにもなりそうにない時、

流星が目に付くぐらい仲良くしてる人と一緒にいる所を見てしまった時、

仕事でうまくいかなかった時、


などなど。
挙げればキリがない、、てほど、そう思うことは沢山ある。


「でも、⋯しない、よね、?」


「うんー、⋯⋯なんかなぁ、」




いざそう思って、流星を例えば無理矢理押し倒してしまったとしても、違う、そう思ってしまって、

優しく抱きたい、好きだって、感じさせたい。



なんて、




「好きやって⋯強く思いすぎると、俺優しくなっちゃうみたい?」

「ふは、なにそれ」




肩を揺らしてくくくっと笑ってみせる。



そう、自分がもし本能のまま流星を抱いて、一瞬でも怯えた顔をされたら、


この笑顔が消えてしまったら、



そう考えると、どうしてもめちゃくちゃにはできないそうな。






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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時

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