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「やだー、おれまだかえらない、」
ものすごくスキンシップが多くて周りの目なんて気にせず甘えてきて、今はしゃがみこんで俺を見上げてくる。
潤んだ目、朱に染まった頬、不機嫌そうにとがった唇。
いつも、周りを見て行動する流星がこんなんなるまでって、どれほど飲んだんだろう。大吾、飲ませすぎやろ。
大吾も流星と同じくらい出来上がっていたからタクシーで帰らせた。
「だいちゃんと、ちゅうしてない」
これだけ酔っぱらってるから、ほんとか嘘かなんて分かんないけど。
「大吾はもう帰ったで。ほら、帰ろ?」
アルコールに溺れた身体をしゃんとさせて、手を引く。
元来た道を引き返そうとしたら周囲の視線を感じた。
深夜の飲み屋街。うろついているのは仕事終わりのサラリーマンばかり。
男同士が手を繋いで歩くというのはかなり視線を集める行動だった。
「じょおくん、ゆっくり歩いて」
集まる視線が心地悪くて、どんどん早足になる。
帰りたい。視線もいややけど、こんな色っぽい流星を自分以外には見せたくない。
夢中で足を進めていた。
「⋯⋯⋯⋯じょおくん、もうあるけない」
しばらく歩き続けたあと、そんな弱々しい声が聞こえたと思ったら、
「流星?」
ぐん、と繋いだ手が後ろに引っ張られた。
悪い予感がして後ろを見るとまたしゃがみこむ流星の姿。
⋯⋯いつも、こんなんやないのに。
むしろ、疲れた俺をひっぱってかえってくれるくらい
「流星?かえろ?」
「⋯⋯だっこしてくれないと、かえれない」
⋯⋯いや、かわいいけど。
さすがに、恥ずかしいというか。人がいなきゃしちゃうけど。
「えーと⋯⋯」
「⋯ちゅうでもいいよ」
流星さん、そこそこの人の往来がある中でちゅうもだいぶ勇気がいるの。
何も出来ずなにも言えず、ただただ流星を見つめていると
「っく、ひ⋯⋯ぐすっ、」
下を向いたまま、なぜか今度は泣き始めた。
どうしよ、誰か助けて。
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咲希@skrmc(プロフ) - 50話まで書き切りありがとうございました。更新してくださっている間、とても素敵な時間を過ごせたと思います。度々気になっていた最後の「()」。あれは歌詞だったのですね。また恋香さんの小説が作成され、機会があればまた読ませていただきます。 (2022年5月28日 0時) (レス) @page49 id: ede94865a4 (このIDを非表示/違反報告)
rinu - 純愛でした♥ (2022年4月6日 0時) (レス) @page33 id: d47608d8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋香 | 作成日時:2022年2月15日 16時