竜巻 ページ35
「な、俺もセンリさんに用事があるんだ！良かったら一緒に……」
「……断る」
と言うように問答無用で誘いを切ったレイラは、センリのジムを目指すことなく別の場所へ。
そこは、
「……確かに……ゴーグルいるな……これは……」
先日ユウキに教えられた、トレーナーの修行場所として名高い砂漠。
渋々とゴーグルを身に付け、卵を慎重に抱え直した彼女は歩を進める。
目印も何もなく、あるのは砂ばかり。
時折、土から飛び出す野性のポケモンとバトルを繰り返しながらひたすら前へと進んでいく。
が、
「誰も……いない」
確かに広い砂漠ではあるが、二つ名が修行場所であるこの地にトレーナーが一人も見られないのだ。
延々と砂が吹き荒れる中で空を見るも、時の感覚が分かる筈もなく。
ただただ前へと進む。
確かに彼女のパートナー達の修行にはなっているようで、確実に強くなってはきている。
それでもレイラは足を止めない。
が、
「何で……歩いてんだろ……」
彼女自身にも理由ははっきりとは分かってはいないようだ。
気が付けば辺り一帯が薄暗さを増し、視界が更に悪くなっている。
流石に疲労が見えてきたのか、レイラは漸く足を止めた。
しかしそこに休める場所がある筈もなく、ただ足を止めただけ。
「……今日……どうするかな……」
今更ながら、彼女は今晩をどう乗りきるかを明確に考えていなかったらしい。
適当な横穴でも、と思ってはいたが、まずは砂漠を囲う山の一部にもお目にかかれていない。
レイラにしては珍しく、無闇やたらと進んでいたのが仇となったようだ。
と、
普段よりも激しさを増した風が急に吹き付けてきた。
ゴーグルを着けていて目に砂は入らないものの、頬に鋭く当たる感覚に思わず目を瞑って顔を手で守る。
ふと彼女が目を見開けば、
月明かりの元ではっきりと分かる程、
天まで聳えるような竜巻が彼女の視界の先に佇んでいた。
まずい、と瞬時に理解したのか砂を蹴ってレイラは竜巻に背を向け走り出す。
卵を落とさないように気を使いながら、
ましてや走りにくい砂の上では速くは走れない。
吹き付ける風は再び鋭さを増し、フードははぎとられた。
気が付けば激しい風の音は彼女の背後にまで迫っている。
限界を訴える足を止め、レイラは覚悟を決めたようにその場に座り込む。
卵を強く抱えて身を縮める彼女に、
【砂漠の掃除屋】と称される特大の竜巻が襲い掛かった。
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CrazyBook(プロフ) - コメントありがとうございます！本当に気長にお待ちください。 (2019年8月12日 9時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
菜々美 - この作品好きです！ゆっくりでいいので更新頑張ってください。 (2019年7月18日 16時) (レス) id: 179628e6fd (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - かしわさん» コメントありがとうございます！完結するまで更新し続けますので気長にお付き合いください！ (2019年3月24日 21時) (レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ - この作品好きです。更新頑張って下さい。 (2019年3月23日 1時) (レス) id: 356d08c55f (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - ルインさん» コメント、ありがとうございます！嬉しい限りです！これからも気長に読んでください！ (2018年7月19日 19時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2018年3月28日 22時
