警戒心 ページ13
「眠いんだけど……」
愚痴を溢し、口を尖らせるレイラを引き連れたユウキは足を止める。
そこにあったのは簡素な作りの小さな家。
屋根からはみ出す特大の望遠鏡を除けば、だが。
「とにかく、一度中に入ってくれ！」
はいはい、と言う空返事と共に彼女は扉を押し開ける。
「ど、どちらさまですか！？」
中にいたのは前髪をヘアピンで留め、大きな瞳を露にする細身の女性。
突然怒鳴られれば誰だって怯むもので、
パタン、
と静かにレイラは扉を閉じた。
「何で入らないんだよ！？」
「……怒鳴られた」
多分お前のせいだ、とでも言いたげな目に睨み付けられ、今度はユウキが扉を開ける。
「ユウキ君！良かった〜……さっきフードを被った女の子が……」
「それが先程お話しした俺の友達ですってば！！」
安心感を漂わせる女性の声とは裏腹に、ユウキの声には呆れが漂っている。
そして女性の大きな瞳は、ユウキの背後のレイラの姿を捉えた。
「ご……ごめんなさい！そうとも知らず急に怒鳴ったりして……！」
「別に……」
必死で頭を下げる彼女にも、レイラは呟くのみ。
「警戒心はあったに越したことない……」
警戒心、という単語に女性とユウキはハッとしたように顔を見合わせた。
「そう！ソライシ博士には警戒心が足りなさすぎるんだよ！！」
「本当に……隕石の事になると誰彼構わずホイホイ着いてっちゃうから……」
同時に吐かれた溜め息に、レイラは紅い瞳を2、3度瞬きする。
「ソライシって……誰？
と言うか……何でアタシのこと……この人に話したの……？」
「あぁ……それなんだけど……」
肩を揺さぶられたユウキがと口を開く。
「単純明快に説明すると……
そのソライシ博士が拐われたんだ」
今度はレイラの口から溜め息が漏れる番だった。
「……誰に、何処に、拐われた……？」
その問いに、女性の口から
「マグマ団」と「流星の滝」という答えが返ってきた。
すかさずレイラはタウンマップを開き、ホログラムを凝視する。
鍾乳洞の洞窟であるそこも、どうやら彼女が嫌いな石や隕石で溢れかえっているようだ。
マップから顔をあげれば、二人が彼女をジッと見つめている。
「……アタシに、行けと……？」
面倒だ、と言うのを引き伸ばしたようなその言葉に二人は頷いた。
「……」
レイラも黙り通す。
が、
「わーったよ……」
先に折れたのもレイラだった。
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CrazyBook(プロフ) - コメントありがとうございます！本当に気長にお待ちください。 (2019年8月12日 9時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
菜々美 - この作品好きです！ゆっくりでいいので更新頑張ってください。 (2019年7月18日 16時) (レス) id: 179628e6fd (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - かしわさん» コメントありがとうございます！完結するまで更新し続けますので気長にお付き合いください！ (2019年3月24日 21時) (レス) id: 8c59f4ad06 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ - この作品好きです。更新頑張って下さい。 (2019年3月23日 1時) (レス) id: 356d08c55f (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - ルインさん» コメント、ありがとうございます！嬉しい限りです！これからも気長に読んでください！ (2018年7月19日 19時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2018年3月28日 22時
