301：本番に強いタイプ ページ5
「あの王女様には困ったものだ。あんなに小さくて可愛らしいのに、とんでもなくお元気でいらっしゃる」
「…」
「君ともお話が出来たら楽しいだろうに。君と過ごす時間はとても心地良いから…きっと言葉を交わすことが出来たのなら、もっと君のことを理解できるだろうに。僕は君の名前すら知らないから」
少女はただこくんと頷くことしか出来なかった。
「そうだ。君に話したいことがあったんだ。爺は全く信じてくれなかったけれど。君にも聞いてほしい」
「…」
「あの夜、僕は静まり返った海を泳ぐポケモンを見た。とても美しいポケモンだった。僕が溺れて海に沈んだとき…僕はあのポケモンに助けてもらった、気がするんだ。気を失う寸前で、記憶はあやふやだが…僕を岸まで運んでくれたあと、そのポケモンはとても綺麗な歌を歌ってくれた」
王子はここで言葉を切ると、バルコニーの柵に手をかけてその向こうを見る。
「…昨夜、あそこに君がいるのを見たよ」
「…！！」
「君の歌が、僕のところまで届いた。とても美しい歌声だったよ。今まで聞いたこともないくらいに…いや、前に一度だけ聞いたことがあるのかもしれない。…ねえ、君はもしかして、」
王子が少女にそう問いかけ、誰もが息を飲んだ瞬間。
ーーーーバゴン！！！！
ステージに程近い位置の天井から、何かが壊れる音と共に、何かが勢いよく落下してきた。
観客席は消灯しているため、サトシからはそれが何か分からなかったが、続いて聞こえた声にすぐ正体が思い当たった。
「もう！ニャースが押すから落ちちゃったじゃない！」
「ニャーじゃなくてコジロウが悪いのニャ！足場を踏み抜くから…」
「いや、そもそもムサシだろ、あんな不安定なところに登って劇団のポケモンを根こそぎいただこうなんていい出したのは！」
(ロケット団！？！！)
叫びそうになるのを、サトシは慌てて堪えた。まだ演劇は途中だ。ロケット団だが乱入してきた時点で今更だが、邪魔をしてはならないだろう。
ロケット団はこそこそ話していたが、ようやく自分達に観客の視線が集中しているのに気付いて押し黙った。
(ねえ！どうすんのよこの状況！！)
(痛いのニャ、視線がすごく痛いのニャ…！！)
(こ、こうなったら……、…どうする！？)
ロケット団は動きを止めたまま目だけで会話していたが、やがて覚悟を決めたのか…同時に勢いよく立ち上がった。
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こうもり(プロフ) - 時間の止まったリスさん» ご感想ありがとうございます！DPはリメイクもされたのでおすすめです！パートナーとの冒険はすごく楽しいですよー！ (2022年4月30日 21時) (
レス) id: 9309100d6a (このIDを非表示/違反報告)
時間の止まったリス - これを機にポケモン始めようかな、なんて思いました(めちゃ時代遅れですね)。リスはピカチュウとポッチャマ時代で止まってますので。へへ (2022年4月26日 10時) (レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - 緑茶さん» こちらこそコメントありがとうございます！DPいいですよね…！！長いお話を読んでくださっただけでなく感想までいただけてすごく嬉しいです、ありがとうございます！ (2020年7月31日 20時) (レス) id: a41badf38a (このIDを非表示/違反報告)
緑茶(プロフ) - たまたま見つけて気付いたら全て読んでいました。DP私も好きなのでとても面白かったです。自分の夢に向かって歩き出す彼らを見ていたら涙が止まりません。素晴らしい物語をありがとうございます！ (2020年7月31日 1時) (レス) id: ab02c22683 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - moekaさん» コメントありがとうございます！最後のページに一覧を載せておきました！ (2020年2月22日 6時) (レス) id: a41badf38a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こうもり | 作成日時：2017年1月1日 20時
