312:さよならの代わりに ページ16
「A」
ヒカリが体を離すと、サトシが一歩前へ出る。
「頑張れよ。俺は…俺達はいつだって、お前のこと応援してる」
「…ありがとう。私も、みんなのことずっと応援してる!」
サトシが突き出した拳は、左。
Aも左の拳を握ると、真っ直ぐ伸ばしてサトシの拳と合わせた。
昨夜の誓いを、もう一度。
それぞれの夢に向かって突き進むこと…Aは触れ合った拳の熱に約束した。
そして、Aはモンスターボールを4つ起動する。
グラエナ、エアームド、エーフィ、リーフィア。
サトシ達との旅を共にした仲間と並ぶと、ありったけの感謝の気持ちを込めて頭を下げた。
「みんな、本当にありがとう!…行ってきます!!」
エアームド、エーフィとリーフィアは感謝の念を込めた視線を送るとボールに戻る。
グラエナだけは、ピカチュウを見上げて言った。
『じゃあな。世話になった』
『君達との旅、楽しかったよ』
『…ありがとな、ピカチュウ!サトシ!』
青い光に変わる前、グラエナは満足そうににぃっと笑った。
ナナミはAに、ヘリコプターに乗るように促した。
Aは彼女と一緒に乗り込むと…扉が閉まる直前、とびきりの笑顔を見せた。柔らかい瞳がきらりと光ったのは、太陽の光のせいか、それとも。
ヘリコプターの羽が一層強く回り、宙へと浮かび上がる。
「Aーーっ!!またねーーーーっっ!!」
「元気でなーーーっ!!」
プロペラの轟音にかき消されまいと、ヒカリとタケシが声を張り上げた。
サトシは大きく息を吸い込むと、左腕を大きく振り上げた。
「またなーーっ!!Aーーーーっ!!!!」
さよならの代わりに、また会えるようにと願いを込めて。
グローブの下から顔を覗かせたミサンガが、青い空の元でキラリと輝いた。
「まずはあなたの故郷に行かなくちゃね。ご家族に挨拶する必要があるわ」
だんだん遠くなる街を見ながら、Aは左腕のミサンガに触れる。窓から差す太陽光を受け、緑の石が瞬いた。
いつかきっと、どこかで会える。
だから、また会うその日まで。
(またね、サトシ、ヒカリ、タケシ、みんな。)
自分の夢に向かって、進もう。
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こうもり(プロフ) - 時間の止まったリスさん» ご感想ありがとうございます!DPはリメイクもされたのでおすすめです!パートナーとの冒険はすごく楽しいですよー! (2022年4月30日 21時) (レス) id: 9309100d6a (このIDを非表示/違反報告)
時間の止まったリス - これを機にポケモン始めようかな、なんて思いました(めちゃ時代遅れですね)。リスはピカチュウとポッチャマ時代で止まってますので。へへ (2022年4月26日 10時) (レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - 緑茶さん» こちらこそコメントありがとうございます!DPいいですよね…!!長いお話を読んでくださっただけでなく感想までいただけてすごく嬉しいです、ありがとうございます! (2020年7月31日 20時) (レス) id: a41badf38a (このIDを非表示/違反報告)
緑茶(プロフ) - たまたま見つけて気付いたら全て読んでいました。DP私も好きなのでとても面白かったです。自分の夢に向かって歩き出す彼らを見ていたら涙が止まりません。素晴らしい物語をありがとうございます! (2020年7月31日 1時) (レス) id: ab02c22683 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - moekaさん» コメントありがとうございます!最後のページに一覧を載せておきました! (2020年2月22日 6時) (レス) id: a41badf38a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2017年1月1日 20時