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「____は、」
冨岡が瞬きした次の瞬間、彼女はもう目の前にいなかった。同時に後ろから感じる気配。まずい、と後ろを向こうとした瞬間、冨岡はバタリと倒れる。
「冨岡ァァアァアァア!!?」
倒れる冨岡の傍らには、木刀を握ったA。しのぶが近づいて冨岡の容態を確認すると、そのまま静かに立ち上がる。
「……気絶、してます……」
全員がおったまげた瞬間である。
そんな馬鹿な、と思うと同時に、何故あの時冨岡が動けなかったのかを全員が理解した。
きっとあれより先に進んだら、Aの間合いに入っていたのだろう。これより先に進んだら、確実に殺られる。木刀といえども、踏み込めば必ず刀が自分に振り下ろされる、そんな間合い。
それより先に進めなかった、だから止まったのだ。
全員がざわめく動揺の中、1番驚いているのは涼しい顔して佇んでいるA本人である。驚きすぎて表情に現れてすらいない。真顔でありながら心配の眼差しをAは向けている。
しかし、傍から見れば、冷めたような顔で冨岡を見下ろしているAが佇んでいるようにしか見えない。
誰かが息を呑んで、ぼそりと呟いた。
「……女王様………」
なぜ大正時代のそいつがその言葉を知っていて使ったのかは定かではない。全会一致のそのワードに、皆がうんうん頷いた。
「……次は?」
ゆらりとAが顔を上げて残りの6人の柱の顔を見る。
現在、完全に恐怖の対象となりつつあるA。
『倒しちゃった★』等と騒ぐわけでもなく、静かに立って真顔で言い放つAは恐怖そのものである。
「…し、不死川お前行けよ」
「何でだ、お前が行けよ宇髄ィ!」
「煉獄、お前は稽古をつけているんだろう
師匠として戦ってやるべきじゃないのか?」
「……YO MO YA」
「僕は大人達が戦うお手本が見たいなぁ(震え声)」
バイブレーションの如く震える5人。
無理もない、冨岡はそれなりに強い剣士。それなのに瞬く間に首をガッとやられ気を失った。現在しのぶの指示で、隠による彼の介抱が行われている。
行けよ、いやお前が行けよと擦り付け合いが始まった時。静かに彼女の前に出る強者が1人。
「南無阿弥陀仏……」
「悲鳴嶼さん、ですか」
ジャラジャラ数珠を鳴らしながら立つ彼に、全員が目を見張った。
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Nami - 冨岡さんに嫉妬する他の鬼滅メンバー面白かったです♪冨岡さん好きだぁぁ♥ (2022年11月4日 11時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
もろん - 最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です(言い過ぎてごめんなさい) (2021年6月11日 17時) (レス) id: 2c8540451a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - ひかりさん» 夢主ちゃん…君少し贅沢過ぎては…羨ましい!!! あんな素敵な声で囁かれたら気絶しちゃいますよ!? あぁ……好き… (2020年4月4日 1時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - マロさん» 無惨と結婚したらあのいい声で囁かれていい顔を毎日拝めるんですよね……至高の幸せですよね………… (2020年4月4日 0時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 無惨と結婚!? やだ…切実にお願いしたいです……無惨の笑みとか絶対素敵じゃないですか… (2020年4月2日 23時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年3月28日 10時