▼ かんとく の もとかれ が あらわれた！【A3!】

▼ ぜろ ページ1

「音響係、ですか？」





ある日の夕食の時間。

和気あいあいとした雰囲気が談話室を包み込む中、1人の女性が思い出したかのように口を開く。


立花いづみ。若くしてMANKAIカンパニーの主宰兼監督になった女性である。







「そうなの！舞台のクオリティも上がってきてるし、いてもいいんじゃないかなって」


「でも、そんな人見つかりますかね？」


「その点に関しては大丈夫！
実は学生時代に仲良かった人が今そっち方面の仕事してるから、声掛けてみようと思ってるんだ」







そう告げて上機嫌な様子で大好物のカレーを彼女は口に運ぶ。


そんな彼女に向けて、1人の学生が問いかけた。






「ちなみに、その人ってどんな方なんですか？」






ふわふわのピンクの髪を揺らし、目を輝かせながら問う彼の姿にいづみは微笑み、目を閉じて楽しそうに話し出す。





「すっごく素敵な人だよ！

背が高くて、イケメンでかっこよくて、気配りができて、優しくて…

勉強も運動もできて、いわゆる人気者って感じの人だったよ」




つらつらと饒舌に語る彼女に、隣に座っていた男は顔を顰めた。





「何、誰そいつ。男？」


「うん、男性だよ」


「俺より前に知り合ってる…いつかころす…

監督、そいつとどんな関係なの」





全員が思っていたことを彼が問いかけたこともあり、その場にいた全員が次に彼女の口から発せられる言葉に耳を傾ける。


一方いづみはというと、少し、いやかなり恥ずかしそうに笑い、頬を赤らめながらこう言った。







「え、えっと…

お恥ずかしながら、私その人と前に付き合ってたの」








とんでもない爆弾が投下された瞬間だった。

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