君の視線を奪いたい。【あんスタ】

look at me！ ページ13

｢わっしょおおおおおい！！！！おはようございまぁぁああああす✩｣

｢うぇっ、ちょ、ストップ！！ストップストップ！！｣

｢A先生えええ！！？｣




ばあんと開け放たれた扉。
そこから勢いよく現れた三毛縞くんの肩にはA先生が担がれていた。



ずさぁと急ブレーキする三毛縞くんに合わせて、A先生の白衣がはためく。

清々しいほどに元気な(煩い)彼に対して、先生は死にかけていた。




｢ちょっと三毛縞ぁ！！A先生に何してくれちゃってるのぉ！？｣

｢ここに来る途中で偶然見かけてなぁ！勢い余って連れてきてしまった！｣

｢どういうことなの！？｣

｢ちょ〜意味わかんないけど良くやったねぇ！今回だけは感謝してあげる！｣



先程まで死んだ魚のような顔をしていたせなっちの顔はみるみるうちに輝き、満面の笑みでA先生のもとへ駆け寄る。

彼女がうめき声をあげても動じることなく、せなっちは先生をうっとりと見つめた。



｢おはようA先生ぇ！もしかして朝一番に俺に会いたくてここまで連れてきてもらったのぉ？そうだよねぇ、それ以外ありえないよねぇ！｣

｢おは…おはよ…たすけて…｣

｢はぁっ、苦しんでる先生もちょ〜綺麗！｣

｢歪んでるっ、この子歪んでるよ！嫌だ怖い早く助けてええっ｣

｢ははっ、A先生少しうるさいぞぉ！｣

｢君に言われたくないよ！！｣





きっと三毛縞くんを睨んだA先生を見て、彼は適当に謝りながらそっと彼女を下ろす。

なんでそこは丁寧に扱うのに雑に運んできたんだろうか。




｢うぁ…酔った…｣

｢フン、これでも飲めばいい｣

｢宗くんありがとう…｣

｢新しいものだから気にしなくていいわよ！｣

｢マドモアゼルちゃんもありがと…ふぅ、生き返った｣




ぐでっと教卓に倒れた先生の元に集まる俺ら。

ここぞとばかりに先生に話しかける俺たちに嫌な顔ひとつせずに彼女は対応した。




｢先生はどこに向かってたんだい？｣

｢え？ここの教室
3-Aの担任の先生お休みだから、私今日代理なんだ｣




１日だけだけどよろしく、と優しく笑う先生。
その笑顔だけでなんだか心が癒されるような心地がして、俺は思わず目線をそらした。



｢あ、そうだ敬人くん。さっき章臣先生が呼んでたから今日中に行ってね
あと英智くんも。この前保健室に忘れ物したでしょ｣




後で取りに来ること！と先生らしく言う彼女はテレビの中とは全く違って、俺たちが特別になったように錯覚させた。

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