３１長すぎる年月は十数年に及ばない ページ4
その笑顔がとても綺麗で、何故だかすごく悲しくなった。
愛おしい人を思い出している彼に、何て声をかけるのが正解なんだろう。
わからないでいると、セイヤくんは上を向いて笑った。
いつも上にいる彼が空を見上げるなんて珍しいなと思いながら彼の言葉を待つ。
「”貴方”、なんて久しぶりに言われたなぁ」
あいつらにはずっと名前で呼ばれとるから、
セイヤくんの”あいつら”で他の五人を思い出す。
確かに、彼らはみんなセイヤくんを名前で呼ぶ。
あぁ、”スエザワ”と呼ぶリチャードくんは例外だけど。
「なぁんか元気出たな、ありがとう」
身に覚えのないことで感謝をされたとき、
この複雑な感情はどこにやればいいんだろう。
「なんやねんその顔」
『……”貴方”って言っただけで感謝されたから』
私の答えを彼はまた笑った。
手がこちらに伸びてきて、
デコピンをされるのを感じて目を閉じるけれど
額に指が弾かれることはなく、ゆっくり目を開けると
今までで一番優しそうな顔をしたセイヤくんがそこにいた。
「”だけ”じゃないねや」
揺れる赤と銀をごまかすように、伸ばされた手で思い切り頭を撫でられる。
瞬間、さきほどとはまた違う風が吹いてまた目を閉じた。
「なんやねん」
少し低めのセイヤくんの声に目を開けると、
モンスターの姿をしたコジケンが私とセイヤくんの前に立っていて。
飛んできたせいか髪の毛はボサボサだけど
コジケンがやるとそういうスタイルに見えるから不思議だ
なんて呑気に思っていると、
紫色の瞳がじろりとこちらを向いた。
いきなり目が合ったので、思わず首を傾げてみると
コジケンはすぐにセイヤくんを見てしまった。
「なんか変なのが見えたんで」
でももう大丈夫です、と羽を収めて階下へ向かうコジケンに
セイヤくんは間延びした「おー」を返した。
コジケンの背中が見えなくなったとき
「相変わらずよーわからんけど
面白いやつやんな？」
とセイヤくんは私に笑いかけた。
いつのまにか茶色になっていた瞳は、
心の底からコジケンを褒めているようで
彼らには到底私が入れないような
濃くて硬い空間があるんだなと察する。
「腹減らん？ 俺らも降りてリチャの飯食おう」
コジケンが降りて行った場所を辿るように、
私たちはゆっくりと歩いた。
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MaKoto（埃）(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。なかったことには絶対したくないし、やっぱり６人を追っていきたい気持ちが自分にもあるので、夢の中だけでも６人を描いていきたいです。もっともっとおもしろいものを書くのでそのときはまた読んでください！ (2月27日 12時) (
レス) id: 7941e71030 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - お疲れ様でした。完結ありがとうございます、彼がずっと大好きで、これからも大好きです。まだ受け入れられないし、私の中では6人でAぇ!groupとしか考えられなくて…。なのでこれからも6人の物語が読みたいです。MaKotoさんの書くお話が大好きです。楽しみにしています (2月27日 11時) (レス) @page40 id: 8e0d3b7125 (このIDを非表示/違反報告)
み - 初めて読みましたが泣ける。生まれ変わってまた6人が会える日が来ると願います。更新楽しみにしてます (12月21日 15時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとうございます🙌🏻小島くんも佐野くんも悲しいです😢これからも更新頑張ってください💪🏻🔥 (8月9日 12時) (レス) @page33 id: 33203d08f7 (このIDを非表示/違反報告)
もんびちぇ - 更新ありがとございます😭😭😭小島くん悲しいです😭これからも更新楽しみにしてます！更新ファイトですっ！！！！！！ (5月15日 9時) (レス) @page31 id: dc37ea6a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MaKoto | 作成日時：2022年3月26日 11時
