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柊の手を取ってくるくると回してみたり、腰を引き寄せて下手くそなステップを踏んでみたり。
うるさいと思っていた雨音も、ばしゃばしゃと足元でなる水音も、全てが芸術的に思えてきた。
元々閑静な住宅街。
こんな土砂降りなんだから、僕らの他に誰も外に出ていない。
雨の中の二人っきりの踊りは、ひどく優雅で美しかった。
藍色に融けだすような踊り。
こんなに美しい雨を僕は知らない。
『河村さんって踊れたんですね』
「見様見真似だけど」
「素敵」。
そう言って伏せ目がちに笑う柊。
メルヘンでもない雨の中の舞踏会。
それでも確かに、この空間も流れる時間も空想的で神秘的だった。
そのあとは二人で笑って、戻りましょうか、とまた手を引かれて家へと帰る。
滑稽にも帰り道だけ柊が持ってきた傘をさして。
もうびしょ濡れで傘なんて意味が無いのに。
お互いに冷えきった手はどうにも温められないな。
_____
「先にお風呂入ってきな」
『ごめんなさい、お先に失礼します』
びしょびしょになった靴下やらパーカーを洗濯機に突っ込んで、柊が風呂から出るまで待つ。
雨に濡れてぺったんこになった髪を適当にかきあげて、着替えを用意した。
暫くして出てきた柊がサイズの合わないパーカーを必死で腕まくりしているのを見て、思わずふふっと笑ってしまう。
『今笑いました？』
「すまん」
交代で風呂に入って冷えた体を温める。
これはふと気づいた事だが、柊が言ったように雨が心の黒いもやもやをを少しだけ洗い流してくれたみたいで、不思議と気持ちがすっきりとしている。
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あんころ - こんにちは、すごく文の雰囲気が素敵で、引き込まれました…！！ヒイラギさんのペースで更新されるのを楽しみに待っています (2020年4月3日 0時) (
レス) id: 4b7a069960 (このIDを非表示/違反報告)
ヒイラギ(プロフ) - 燕さん» ありがとうございます！ゆっくりの更新になりますが頑張ります^^* (2020年3月10日 16時) (レス) id: 8efd38389c (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - この作品、とても好きです。更新楽しみにしてます。 (2020年2月3日 2時) (レス) id: 9037981a2e (このIDを非表示/違反報告)
ヒイラギ(プロフ) - うずきさん» ありがとうございます！嬉しいです^^* (2020年1月24日 21時) (レス) id: 4b5b27727e (このIDを非表示/違反報告)
うずき(プロフ) - 世界観が大好きです！最高すぎます！ (2020年1月24日 1時) (レス) id: c78208ae40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒイラギ x他1人 | 作成日時：2019年9月22日 16時
