【鬼滅の刃】引きこもりニートしようとしたら鬼殺の剣士がいらっしゃったようで……？2【逆ハー】

Story60:不死川side ページ14

部屋に戻り、2組敷いてある布団の片方の上にごろんと横になった。Aが買ってきた寝間着は、薄いわりにそこそこ保温力はあるみたいで、肌触りもいい。隊服みてェだな、と思った。


「…ねぇ、不死川さん」


滅多に自分から話しかけてこない時透からの声に、おう、と声だけで答える。視線はじっと、目の前にある壁を見つめたままだ。


「Aは何を隠してるんだろう」
「……お前も気づいたかァ」
「胡蝶さんも、気づいてはいるんでしょ？」
「たぶんなァ」


あいつが何かを隠しているなんて、俺たちには丸わかりだ。腐っても柱、人の上に立っていたのも伊達じゃねぇ。何人の隊士たちの稽古をつけたかもわからねぇし、その度に人間という生き物を見る目は養われた。戦いを知らない、駆け引きもできないケツの青い小娘の隠し事なんざ、すぐわかる。


「…Aは敵だとおもう？」
「……さぁなァ」


それでも敵と断じきれねぇのは、アイツが心の底から俺たちの心配をしているのも、同時に感じるからだ。それを嘘だとは、どうしても思えなかった。


「僕たちはこれから、どうすればいいんだろうね」
「ンなこと、知るかァ」


そもそも死んだはずの胡蝶や時透とこうして話すことすら、想像していなかったんだ。それが今になってこうしてこいつらと話す…ある意味奇跡、だろう。…もしかして玄弥にも会えるのか？

その可能性を、すぐに脳裏でかき消す。そうして期待して裏切られたときのことを考えれば、それが妥当な気がした。


「…俺たちは俺たちにできることをするだけだァ。今も、昔もな」
「……そうだね」


それが御館様のご命令でなくとも。鬼を狩っていた時と同じように、できることをできるだけ。


「ただ、平和ボケしちまったら…俺ぁ戻った時に苦労するんだろうよォ」
「…不死川さん、あの戦い、生きて帰れたんだ」
「まぁ…期間限定ではあるがなぁ」
「痣者の宿命？」
「ああ。痣者についてはまだわかんねェがな。発現条件と、25までには死ぬってこと以外は」
「…痣、ね」

身を起こして時透を見る。するとこいつは、じーっと俺の顔を見て。


「多分今の僕達、痣者じゃないと思うけど」
「はぁ！？」
「高熱になってないから確かなことは言えないけど、負ったはずの傷は無かったみたいになってるし…可能性としては有り得ると思うよ」


と、とんでもないことを言いやがった。


(本当にこの世界はどうなっていやがる)
(…俺はこれから、どうすればいい？)

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