【鬼滅の刃】引きこもりニートしようとしたら鬼殺の剣士がいらっしゃったようで……？2【逆ハー】

Story58 ページ12

紙飛行機(よく見ればそれ以外にも、机の上にいっぱい鶴や兜などがあった)を踏まないように気を付けてむいくんを起こす。すると今朝は私の叫び声でも起きなかった彼が、簡単に起きた。


「むいくん、おはよう」
「…A。仕事終わったの？」
「まだ終わってないけど、とりあえずひと段落かな」
「そう」
「すごいきれいな折り紙だなぁ。私こんなの、見たことねぇや」


成島が横で感嘆してしげしげと折り鶴を眺めていると、むいくんの表情がふふん、とちょっと得意げなものになった。


「折り紙は得意だから」
「へぇ。今度私にも教えてくれよ」
「…まぁ、別にいいよ」
「よっしゃ！そんじゃA、無一郎君。私あがるわ。お疲れ様ー」
「お疲れ様、成島。また明日ね」
「おーう」


タイムカードを押せば、本来この事務所兼座敷に彼女は用はない。たぶん、むいくんの折り紙教室の約束を取りつけたくて、そしてむいくんの寝顔に見惚れて、ここにいたのだ。ひらりと手を振ると、すぐさま降りていく。


「むいくん、帰るまでにはこれ、片づけてね」
「……どうすればいい？」
「捨てるにはもったいないけど…紙飛行機がこんなにあってもちょっと困るかな…」
「わかった。じゃぁ広げて、書き物ができるようにすればいいかな」
「…そうだね、ちょっと残念だけど。あ、小さなものは取っておいてもいいよ。むしろ目の保養になるし」
「…？まぁいいや、わかった」


紙飛行機をばらし始める彼を横目に、私は今日の売り上げをパソコンに入力していく。手書きの帳簿に関しては…まぁ手が治ったらでいいだろう。

貯めておくと後が面倒なんだけど…しょうがない。

何人かがタイムカードを押しに来て、そのたびにお疲れ様です、と声をかける。そうこうしているうちに、不死川さんとしのぶちゃんが、奥から出てきた。


「お疲れ様です、Aさん」
「…お疲れェ」
「お疲れ様です、2人とも。みんな帰ったら私たちも帰りますので、用意しておいてくださいね」
「はい。…時透くん、なにをしているんです？」
「折った紙飛行機、広げてる」
「…なんでわざわざンなことしてんだァ」
「片づけだよ」


そんな会話を聞きながら入力を済ませ、その頃にはみんなが退社していて。


「さてと、帰りますか！」


(お店の警備を起動して、鍵を閉めて)
(車にみんなをのせて)
(渋滞がない分、45分くらいで家について)
(それでもいつも通り、帰ってきたのは0時を回っていて)
(…めっちゃ、疲れた)

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